さよポニ行脚はベスト盤(19年作)で締めます。
ソングライター別のディスク構成、アルバム未収録の名曲もしっかり網羅する選曲もバッチリです。
アルバム未収録曲から選ぶとすれば、やはり1番の代表曲であるこれです。アニメ"キルラキル"のED。
"心血を注ぐ"という表現が似つかわしいほどに、全ての面においてさよポニ史上断トツで気合が入っていて、それに相応しい名曲になっているのが最早泣けます。
ふと思いますが、今彼らと同じコンセプトで出てもありふれていると思われるかAIと疑われそう。出てきたタイミングも良かったんだと思うし、出会えて心底良かったと思います。
さよポニ行脚中。24年作の10枚目。ついに最新作まで来ました。
さよポニのニュースタンダードな作品。前作の洗練された音を、よりポップかつさよポニ的正統派として鳴らしていて、ジャケの通りの曇りなさが爽快です。少なくとも20年代の4作品の中では最高傑作です。
ふっくんの存在感が大きく、"銀河鉄道の夜"を彷彿とさせる"星の旅路"と、これぞさよポニなキラキラで切ない疾走感を伴うこの曲が本作の中核です。いずれも別離をテーマとしている点も"さよならポニーテール"の名にふさわしいと言えるかも。
自主リリースとなり、CDがすぐ売り切れて買えずじまい。LPは買います。でも本当は店頭で並んでてほしい作品です。
さよポニ行脚中。22年作の9枚目。
タイトル"夜の出来事"の通り、夜をテーマにした曲が多く、カラフルさは少し抑えて全体的にメロウな仕上がり。自然に聴いてましたが、意外と新境地かも。
近作からは、それぞれのソングライターとボーカルの棲み分けがはっきりしている感じがします。個性の確立や適材が進んだ結果ですが、すっきりし過ぎて寂しいと感じる時もあります。5人のコーラスがもう少し聴けると嬉しいです。
1曲挙げるとしたら、トラックメーカーとしての324Pの魅力が久々に味わえるこの曲です。声や音の抜き差しがファンキーながら、いい具合に気の抜けるユーモラスなところが好きです。吐息の活用も効果的。
さよポニ行脚中。21年作の8枚目。
前作でのこじんまりとした感じから一転、再び充実作を出してくれて安心しました。ひとえに各ソングライターが強力な楽曲を持ち寄ったのが大きいです。特にマウマウによるこの"キマイラ"とクロネコの"楽園"はそれぞれの最高傑作と言ってもいいかも。
全体では、本作のメグ曲が個人的に微妙なのと、後半にもう一波欲しかったという点が若干惜しいです。
この曲はさよポニ史上最強のファンクチューンでありながら、あゆみんとしゅかのボーカルが完璧にマッチしており、舌っ足らずな歌とリズムの絶妙なズレすらグルーヴィー。キマイラというゴツい単語をキュートな恋愛に仕立てる歌詞も凄いです。
さよポニ行脚中。20年作の7枚目。
前2作の充実度と比較して、肩の力が抜けた作風というのもあり、正直なところ最も地味な作品です。
自己模倣的な感じもあって、スピンオフ的にゆるく聴くのがいいかと思います。
ということで、この曲なんかをベースにするとアルバムとの波長が合ってくるかもしれない。まったりしてるけどちょっと切ない感じが良いです。
さよポニ行脚中。
個人的最高傑作の6枚目は既に投稿済みなので、ボーナスディスクである324Pのリミックス集について。本編が強烈なのに、こちらもボーナスを遥かに超えた作品(なのに3,000円という良心価格でした)。
元のメロディや歌声の良さや軽さ、儚さを残しつつグルーヴィーな楽曲へ変身させる手腕が素敵です。フォーキーなふっくん曲との相性が抜群で、初期曲から最新作の曲まで幅広く聴けます。
この曲ではギターのカッティングが坦々としているからこそ、歌声が映えていて良いです。
324P楽曲にも通底することですが、彼の作品が担う気怠さが、さよポニの重要なファクターの1つだなあと改めて思いました。
さよポニ行脚中。18年作の5枚目。
毎度変わるイラスト担当"神さま"、ジャケの英字表記など今に繋がるスタイルが確立し、中身の充実度もさよポニ史上屈指かと思います。
初期に近いフォーキーな曲からキラキラした曲まで、一定のノスタルジーを含有している感じがあり、小曲での繋ぎも奏功して、アルバムとしてのストーリー性があるのが良いです。ラストの〆がとりわけ素晴らしいです。
中盤のこの曲は、前作の324P曲のメグによるリアレンジ版で、ここで歌われる夏が本当にあったのか分からないくらい幻想的に仕上がった作品。
"君は僕の宇宙"というアルバムタイトルのとおり、この曲にも宇宙的郷愁が息づいています。
さよポニ行脚中。17年作の4枚目です。
イラスト担当の"神さま"が不在となり、まさかの実写ジャケに。そんなショックもあってか、私も本作(と最新作)だけCDを持っていません。
前作の派手さは無く、新機軸があるわけでもないですが、いい曲揃ってます。次作以降、より作風が広がっていく端緒があります。
1曲選ぶとしたらマウマウ作曲のこの曲。職業作家感が一番あるマウマウですが、こういう90年代アニメのEDっぽい曲を作らせたらピカイチです。
サビの余白を残すメロディが絶妙なのと、放課後感はあるけどナンセンスな歌詞とゆるい歌の相性が好きです。歌はゆるいけどコーラスがちゃんとしてるのが肝かもしれない。
"円盤ゆ〜とぴあ"Disc3"青春期の光の影"は、全曲がふっくんのアコースティック作品で、ボーカルはみぃなのみという、最もコアなさよポニに立ち返った1枚。個人的には3枚の中でこれを一番聴きます。
躁的なDisc1,2とのギャップがあるから、なおさらここでのメロディや歌声の良さがじんわり沁みます。初の英詞となる2曲も違和感ないです。
全33曲のラストを飾るこの短い曲、こういうスローで浮遊感のあるアコースティック曲がいいですね。恐らく(数ある)さよポニの世界を1度閉じる曲で、宇宙を弔うようなみぃなの歌声が素晴らしいです。
"円盤ゆ〜とぴあ"Disc2"さよポニカレンダー"はその名のとおり、各月1曲+卒業ソングという構成の作品。当時、これらの曲が毎月YouTubeで公開されるのを楽しみにしていました。
Disc1に劣らずこちらも良い曲揃いですが、特に7月の324P曲が好きです。アバンチュールという歯の浮くような単語も、七夕という題材で彼女らが歌うと意外としっくりきます。
この頃のさよポニは小気味よいリズムがハマってる曲が多いです。
さよポニ行脚中。3作目の"円盤ゆ〜とぴあ"(15年作)は3枚組33曲3,333円という大作。
Disc1"A面集で恋をして"は、さよポニ史上最もキラキラしたポップソング集で、各ソングライターの陽の部分が出た佳曲揃いな作品です。前作より5人のコーラスをうまく活用できているように感じます。
ふっくん作のこの曲は、4つ打ちの踊れる曲ですが、ボーカルは平熱で透明感がしっかり中心に据えられているところが、いい感じにさよポニらしさとして着地してて好きです。
さよポニ行脚中。
13年作の2枚目で5人ボーカルとなり初の作品。当時、大瀧詠一や小沢健二に連なるポップスへの愛情に満ちた作品だと思ってワクワクして聴いた記憶があります。
ある種アイドルっぽいポップでカラフルな楽曲が集まった前半のインパクトが強いですが、むしろこの曲以降の後半の流れが素晴らしいです。
初期さよポニらしい、フォーキーなこの曲が中核を担っていると安心します。星間を満たすコーラスと地味に動き回るベースが好きです。
この頃、さよポニ名義で短編漫画の連載もあり、この曲と同名の作品があります。離れ離れになった流星の恋人が、地球上で最期を迎える前に再会する美しい話でした。
さよポニ12年作のミニアルバム。ボーカル3人含めメンバー全員が1曲ずつ持ち寄るという本作限りのスタイルが、程よくバラエティ豊かで好きです。
この曲はボーカルのみぃなによる作詞作曲で、冒頭の"目に見えるものが全てだよ 目に見えないものはぜんぶ消えていくから"というフレーズが印象的。作品至上主義ともいえる彼らのスタイルと重なります。
儚いボーカルとメロディ、追憶そのものを具現化したようなアレンジ、それらを混ぜ合わせるコーラスが見事に結晶となってキラキラしている。
元々気にも留めていない曲でしたが、じわじわと存在感を高めています。
さよポニのメジャー1枚目(11年作)。
当時、相対性理論的なものを期待して何気なく聴いたら、あまりに普通なポップスに驚きました。そしてめちゃ聴きました。
空や風、恋や時間に色を点けるという音楽の魔法が歌われたこの表題曲は、音楽の魔法を信じる以上、何だか常に心のどこかで流れている気がします。永遠に続くような緩くソウルっぽい演奏も素晴らしいです。
当たり前かもしれませんが、ウィスパーボイスがしっかり聴き取れる、それでいて演奏の躍動感も伝わるという音の鳴り方も、実は凄いのではと思います。
さよポニの6枚目(19年作)。
個人的にはさよポニのベストは本作。というのも全編が異様にファンキーで突き抜けていて、それでいてメロディ面でも充実しているからです。
SFめいた歌詞、世界観も含めた"何でもやったれ"感が個人的にハマり、めちゃめちゃ聴きました。
強烈な印象を残す曲多数ですが、ラストのこの曲も素晴らしいです。しゅかボーカル+チルいグルーヴという相性の良さがバッチリ。本作の破茶滅茶な世界観をいつもの帰り道に着地させるという点でもこれ以上美しい〆は無いでしょう。
全作レビューしている方を見て、改めて一通り聴き返したいと思った次第です。
2023.11.18
2023.10.28
どこが良いとか言えないんだけど、じっと聴いてしまう、そんな感じ
さよポニの新作。15年に及ぶ活動でフルアルバムとしては10枚目。相当なハイペースですが、今回も粒揃いの楽曲で充実しています。
先行シングルが半数以上を占めているのが気にならない程にアルバム曲もいい感じ。近年はキラキラした曲を意識的に顔にしている感ありですが、個人的にはこういうみぃなボーカルのアコースティック曲が肝だと思います。
余談ですが、チャゲアスのサブスク解禁に合わせて、さよポニの"SAY YES"カバーも解禁してほしいです。
アポロン
アーティスト
さよならポニーテール
ソングライター
マウマウ
【 #好きなポイント 】
・冒頭の徐々に近づいてくるローファイのサックスのリフ
・コンガが刻むリズムとフレクサトーンの音
・サビの「誰のためでもなく、金のためでもなく」裏の妖しげなトラック
・サビ後のコンガソロ
・最後の「いったい何を示すのか」後の「か」×3
ふれられない奇跡
アーティスト
さよならポニーテール
ソングライター
ふっくん
さよポニの新曲。さよポニとは思えない実写ジャケ。猛暑でくたびれた身体をクールダウンさせてくれる2曲です。
一昨年の"熱帯夜"に続くメグのチル曲。とろけるギターと、ちょっと重めのビートが何とも心地よいです。
シングルで既に6曲も出てるけど、アルバムはどうなるのでしょう…?
さよならポニーテールの13年作。こないだ出た副読本"奇妙なペンフレンド"も揃えるくらいには10年来のファンです。
本作"青春ファンタジア"はその名のとおり、音楽の魔法で青春をでっち上げている作品で、ポップスへの愛情が詰まっています。
特にラストのこの曲が好きです。大滝詠一リスペクトな音はもちろん、複数の時間を並走させてロマンスという言葉に落とし込む詞が素晴らしいと思います。音楽は移り変わるけど音楽の持つ魔法は普遍的だということを言っているのもしれません。
適当に作ったプレイリストをシャッフル再生して、星野源「喜劇」→この曲→Kirinji "Killer Tune Kills Me"と流れてきて最高だった。そういう流れにも耐えられるレベルのグルーヴを、さよならポニーテールが獲得した記念碑的作品だと勝手に思っている。
あどけない歌声で耳馴染みのいいメロディが聴こえてるが、演奏は相当にファンキー。これらを繋ぎ止める歌詞として、恋愛の訳わからない気持ちを「キマイラ」という言葉に集約しているのがハマっている。このシングル用のジャケットも最高。
さよならポニーテールの12年作で、3人ボーカル時代最後のミニアルバム、という位置付けが惜しい作品。特にメロディの充実度では最高作かも。メンバー全員が1曲ずつ持ち寄っているのに、まとまりが良いのが不思議。
この曲は明るく爽やかな曲だが、盗まれた悲しみが裏側に滲んでいるように聴こえる。恋愛によって心が変わるという不可逆性は、元々のわたしが失われるという意味で悲しいのかもしれない。
なお、タイトル元と思われるMoodymannの"The Thief That Stole My Sad Days"は、漆黒かつソウルフルなグルーヴが悲しみを盗んでしまう超名曲。
引っ越した。とはいえ近所なので生活圏は変わらず、新居から散歩に出た時の街並みのキラキラ感がないのが残念。
という前置きはさておき、この曲の街も本人からすれば何の変哲もない見慣れた世界だろうけど、「光る街」だと歌うことで、曲中では光輝く景色が立ち上がっている。数ヵ所で悲しみや痛みを感じさせるフレーズが入っているところが好きで、負の思いにもさらりと(実は痛切に)触れることで、曲の太陽のような温かさが一層伝わってくる。こういうところに、さよポニが掲げる「音楽と魔法」が宿っていると思う。
最近spotifyに解禁されたクチロロの「光る街」も名曲。
歌詞が「言えた"なら"」とか「笑って"いたい"」とか願望ばかりなのがとてもエモい
さよポニの「いつか終わりが来ると頭の片隅で理解しつつもわからないフリをしながら今の幸せに向き合う」みたいな感じが好き(拗らせオタク特有の深読み)
特に初期の方の曲はエモ指数高い
さよポニはナタリーとかダンスフロアとカボチャのおばけも切なくて好き
カゲロウプロジェクトもボカロもハニーワークスも通ってきてない厄介陰無キャが、思春期唯一ハマった音楽グループ