nyamako

にゃま/音楽ブログの中の人

「ロックンロール戦線異常あり(https://namsk-ks.hatenablog.com/)」というブログを運営してます。
どうぞよろしくお願いいたします。

羅針盤 足りないもの for nyamako

"本当のことなら 終わりながら 生まれてる
大切なことだけ 何故か うまく抜け落ちてる"

スピッツのトリビュートアルバムに参加していて、
存在はかねてから知っていたバンド。

たまたまサブスクで見つけて、聴いて、
良いなあと感じた。

白いキャンバスに、少し丸まった黒い鉛筆で
丁寧に線を引いていくような、
淡々としているけれど、確固たる意志を感じる音楽。

油断してると突然線が乱れて、
どこにいっちゃうんだと焦るけど、
ひとしきり塗りつぶしたら、
まるで何事もなかったかのように元の位置へ。

そしてまた長い線が伸びていく。
そんな音楽。

あたまたんさん 北抜 for nyamako

"幻の世界なら
ずっとここにあるのに
よくできた国だから
ずっと前からあるんだよ"

タイトルは麻雀のルールらしい。
麻雀はやったことないからよくわからない、
気がつくと徹夜になる危険なゲームという
イメージだけがある。

でも、この曲を取り巻くどろっとした、
油断すると引き摺り込まれそうな空気からは、
薄汚い雀荘で夜な夜な遊戯に興じる
渡世人の趣を感じる。

Hoach5000 太陽光発電 - album mix for nyamako

"今寄り添ってみて
合わせるのたましいの輪郭
受け取ってみて
君がそれを選ぶなら"

インディーズシーンに彗星の如く現れたシンガー。
歪んだギターと気だるいボーカルの相性が、
合わないわけもなく。

ゴツめのグランジサウンドの中に
不意に見せるコケティッシュな魅力に、
ぎゅっと胸を掴まれる。
Charaに影響を受けたというのも納得。

The Birthday 青空 for nyamako

"絶望に 絶望している 暇なんて 俺にはねえよ
本当に 大事なものは 目に見えない 目には見えない"

ものすごく寂しいけれど、
不思議と心は落ち着いている。
僕らには絶望してるヒマなんてないんだから。

あなたが残した魂はたくさんの人が受け継ぐでしょう。
まだまだロックは死なない。

the dadadadys 超々超絶絶頂絶好最高潮 for nyamako

"平々凡々な日常に参上
超超々超絶絶頂絶好で最高潮"

2022年に前身バンド「teto」から改名後、
the dadadadysとして初となるアルバムの
1曲目に収録されたナンバー。

初期衝動を感じる16ビートパンク。
タイトなビートと攻撃的なリフに、
迂闊に触ると怪我しそうな危険な空気が漂う。

一方で、開放感のあるサビはまさに
「声に出して読みたい日本語」。
勢いに身をまかせるような語感の良さには、
新たなスタートを切った瞬間の高揚感が溢れている。

SEAPOOL サマースクール for nyamako

"ベイビー、ヘイトだったスクール
昨日がすぐ遠くなってく
大きな声で起立、礼で飛び込め"

小学校の頃、夏休みになると学校のプールが
数日間開放されて、自由に泳ぎに行けた。

今じゃ考えられないくらい長時間遊んで、
夕立が降って慌てて飛び出して、
校舎の中で止むのを待ったのをうっすら覚えている。

せいぜい十数年しか経っていないのに、
当時の自分が何を考えていたか全く思い出せない。
その場その場の感情だけで動いていた日々。
「好き」と「嫌い」だけで十分だった日々。

でも本当は違っていて、
今の自分には想像もつかない
不安や迷いなんかもいっぱいあったんだろう
そんなことを考えながら聴いていた。

Sundae May Club 晴れるな for nyamako

"ありきたりな曲しか書けない
若さは痛さでしかない
未熟な感性を 引きずって歩く"

「若さゆえの衝動」とか、「フレッシュな感性」とか、
そういった言葉で評されるバンドは数知れず。
彼女たちもまた、青春時代の根拠のない無敵感を
思い出させてくれるような存在だった。

でもこの曲では少し違っていて、
自分の中の「若さ」「未熟さ」に対する
負い目や劣等感にスポットが当てられ、
これまでと違うヒリヒリとした感触がある。

大人と若者の狭間でもがく等身大の感情が、
疾走感のあるバンドサウンドと共に駆け抜ける。
少し大人になった彼女たちを、
ロックンロールはどこに連れていくんだろう。

続きはらいせ 夜は友だち、悪魔のかかと for nyamako

"足早に去っていった季節を
思い返すこともなく
アカシアの花のようなあなたの
裸を思い浮かべている"

懐かしい思い出と理不尽な現実が
衝突して生まれた巨大な渦の中、
縋り付くものを必死で探すかのような
切迫感のある歌声が響く。

言葉の節々に感じる「生きづらさ」
それでも荒波の中で必死にもがき続けるその姿は、
愚かしくも美しい。

現在活動休止中。
ゆっくり休んで、また戻ってきてほしい。
音楽がないと、生きていけなさそうな人たちだから。

エレガンスハイツポピー マライカ for nyamako

"あまりに見え透いた表情で
理性を失ってるみたいね
あまりに見えすいた妄想で
或いはあらがってるみたいで
Please me"

エキゾチックに香るバンドサウンドと、
気だるい色気をまとうボーカルが織りなす
陶酔的な世界にトリップしそうになる。

タイトルはスワヒリ語で「天使」を意味するらしい。
最近の邦楽にはあまりない、
少しドラッギーな雰囲気がクセになる。

BAKUDAN JOHNNY 終わりなき午後の冒険者 for nyamako

"終わりなき午後の冒険者にゃ
人生はあまりに長い旅です
間違いと勘違いと正解の間を
空高くから見守ってくれませんか"

大学受験を控えてた頃、力をくれたバンドのひとつ。
晴天を貫くようなまっすぐな曲である一方、
歌詞にはどこか達観しているような
乾いた空気感がある。

でもその「不安定なまっすぐさ」が、
当時の自分にはすごく心に響いた。
人間ってそんな簡単な生き物じゃないよなあ…と
背中をさすってくれているような気がして。

Helsinki Lambda Club,Satoko Shibata 触れてみた - feat. 柴田聡子 for nyamako

"夜は朝までぷかぷか
誰も知らないとこ行こう
君と朝までぷかぷか
またいつか行こう"

今週リリースのアルバムより。
知らない国の市場を歩くような
心地よい賑やかさが続く中で、
ふっと置かれた箸休め的な曲。

「ぷかぷか」「ぱしゃぱしゃ」といった
擬音を用いた歌詞は可愛らしくもあり、
どこか奥ゆかしさもあり。

穏やかな曲調や少しゆるい言葉選びは、
はっぴぃえんど的な下町情緒があり、
やや異国感漂うアルバムの中で
良い違和感を放っている。

Fujifabric 陽炎 for nyamako

"窓からそっと手を出して
やんでた雨に気づいて
慌てて家を飛び出して
そのうち日が照りつけて
遠くで陽炎が揺れてる 陽炎が揺れてる"

脳を溶かすような夏の暑さが呼び出す一瞬の幻想を、
繊細なタッチで描いた名曲。

言葉のひとつひとつから香る強烈なノスタルジー。
ゆらゆらと揺れる陽炎のごとく、
過去と現在の境界が曖昧になっていく。

「あの頃の夏は何をしていたっけ」と、
大人になるにつれて薄まっていく記憶を辿りながら、
とりとめもなく考えてしまう。

色々な十字架 良いホームラン for nyamako

"おもらししたままの服で前撮りします
ラー油を直に飲みます
平気で人のセーブデータ消します"

1stアルバムのラストを締める歌詞が
それで良いのかと全力で突っ込みたくなる一節。

90年代のV系サウンドを精密にパロったサウンドと、
倫理観の欠片もない歌詞のギャップから生まれる
なんともいえない空気感はかなり中毒性がある。

誰にも真似できない、
というか誰も真似しない方が良い、
ある意味孤高の存在。

aoni FIELD for nyamako

"いつも通り 風のように
向こうへ 向こうへ 向こうへ"

ここ最近、いわゆる「下北系ロック」ムーヴメントの
リバイバルがにわかに盛り上がり始めた気がする。
その筆頭格に立つaoniが待望のフルアルバムリリース。

「キメ」を効果的に入れ込んだ、
荒々しい中にもどこかクールな響きを宿す
バンドサウンドは、この季節のドライブにぴったり。
今年の夏はこれでテンション上げていきます。

THE BOHEMIANS That Is Rock And Roll - Growing up version for nyamako

"音楽を知らない奴らにゃ わかりゃしねえのさ
世界中に教えてやろうぜ 
BABY, THAT'S ROCK'N'ROLL!!!"

ロック黎明期のアンセムを大胆に日本語でカバー。

ある曲を別の言葉でカバーすることは
決して簡単ではないが、
ロックへのまっすぐな愛は
そんなハードルをやすやすと飛び越える。

冒頭に上げたサビの歌詞は結構な意訳だが、
この曲の精神性を直球で表現していると言って良い。
素晴らしいロックンロールには国境も時代も
関係ないことを身をもって教えてくれるナンバー。

YOSHII LOVINSON CALL ME for nyamako

"何年先でも同じさ
「I LOVE YOU」「I LOVE YOU」が灰になる"

苦し紛れにカッコつけながらも、
寂しさを隠しきれない男の姿が痛ましい。
THE YELLOW MONKEY時代に
数多の恋を歌っているからこそ、
言葉の裏に渦巻く失意がより深く伝わってくる。

一方、当時のどこか不安定な吉井和哉には、
今とはまた違うカリスマ性が溢れていたのも事実。NIRVANAのカート・コバーンにも似た
退廃的な佇まいが美しい。

Kozo Murashita 陽だまり for nyamako

"ああ僕は君一人のためだけのひとりぼっちさ"

伝説の恋愛漫画と謳われる
「めぞん一刻」のアニメ版主題歌。
恋愛をめぐる心の機微を優しいタッチで描く
村下孝蔵の十八番芸が合わないわけもなく。

日本語を大事にするアーティストは数多くいるが、
村下孝蔵の繊細な言葉選びや
巧みな比喩表現は一線を画していると思う。
こんな詞が紡げるようになりたいと何度思ったか。

ATARASHII GAKKO!,H ZETTRIO 恋の遮断機 feat.H ZETTRIO for nyamako

"あんなにアタシが言ったのに
「告白されたの、しょうがない」
こんなにアタシが好きなのに
どうして あなたが付き合っちゃうの?"

恋愛による友情の崩壊をドラマチックに描いた名曲。

学生時代の恋愛のもつれなんて、大人になれば笑い話になるかもしれない。
しかし、ジャズテイストのメロディが彩るシリアスな空気は、今を懸命に生きる少女たちの真剣な眼差しを物語っている。

SPITZ ホタル for nyamako

"時を止めて 君の笑顔が 
胸の砂地に 浸み込んでいくよ"

「『時を止めて』と哀願する彼らが一番、時は止まらないことを知っている。」
YouTubeのコメント欄にあったこの言葉がいまだに印象深い(とある雑誌のレビューにあった文章らしい)。

「月に手を伸ばせ、たとえ手が届かなくても」とThe Clashのジョー・ストラマーは言ったという。
届かないと知りながらも懸命に手を伸ばす姿は愚かに見えるが、その非論理的な行動こそ「人間らしさ」が一番光り輝く瞬間なのかもしれない。

「時の止まった世界」という幻想にすがりつこうとする生々しい人間の想いが、痛切に心に響く1曲。

MO'SOME TONEBENDER 教祖様はスレンダー for nyamako

"ねえ、生き様と死に様って結局同じなんでしょ?"

普段は酒浸りでちゃらんぽらんなのに、実はめっちゃ強い酔拳の使い手みたいなバンドだと思ってる。さながら昔のカンフー映画の師匠の佇まい。

活動のマイペースさも相まって、どうにもつかみどころのない人達。何も考えずヘラヘラ笑っているように見えて、その奥でチラつく狂気めいた眼光にゾクッとさせられる。

トライセラトップス Raspberry for nyamako

"ラズベリー踊ろうよ 全て忘れ身をゆだねて
ラズベリー踊ろうよ それで全てうまくいく"

デビュー曲でありながら、のちのトライセラを構成する要素が全て詰まっており、まさに「原点にして頂点」な作品。

当時の音源では歌声にあどけなさがあり、少し「背伸び」している感覚があるものの、リリースから20年以上経った今ではすっかり「大人のラブソング」の風格を身にまとっている。
バンドと一緒に、楽曲もいい歳のとりかたをしている。

6EYES 時代とおれは本格的に関係なくなってきた for nyamako

"時代とおれは本格的に関係なくなってきた 
関係なくなってきた"

名古屋を中心に20年近く活動を続けるパンクバンド、6EYESが2022年にリリースした作品。

コロナ禍で多くのバンドが感じたであろう「疎外感」を代弁するようなポストパンクだが、不思議と悲壮な空気は感じられない。

混迷にあえぐ時代を、虚な視線で達観するようなその態度は、時代にとらわれず独自の音楽性を貫き続けたからこそたどり着いた境地であるように思える。

the dresscodes ゴッホ for nyamako

"ぼくはゴッホじゃやなんだ 
やっぱりゴッホじゃやなんだ"

冒頭、焦燥感のあるドラムに乗せて歌われるのは、六畳一間の部屋であてのない妄想を巡らす若者の姿。
逡巡の末に導き出された「ゴッホじゃやなんだ」という叫びに心が震える。

ゴッホのように死んでから伝説になる人生なんてまっぴらだ、俺は今伝説になりたいんだよ!とでもいうような貪欲かつ純粋な思い。瞬間瞬間を必死で生きようとするその姿は、間違いなくロックスターだよ。

The Birthday 抱きしめたい for nyamako

"俺は決めたんだ あのクズ共から 
世界を奪い返すって
それで青に還すんだ そのあとでお前を 
根こそぎ抱きしめてやる"

「根こそぎ」という言葉に、相手の「命」を丸ごと受け入れるかのような深い愛を感じる。

The Birthdayとなってから、チバの歌詞には「人肌の温もり」が宿り始めた。
生きる実感を噛み締めるように紡がれる言葉は、時にヒリヒリした痛みを伴いつつも、優しい光を宿している。

疫病が流行り、戦争が起き、「死」の匂いが漂い続ける時代。まだまだ、あなたの言葉が必要だ。いつまでも待ってるぜ。

キンモクセイ 二人のアカボシ for nyamako

"さようなら 街の灯りと 月夜と二人のアカボシ
最後の想いは 君が振り向く前に 話そうか"

メロディや歌詞はすごくノスタルジーを感じるけれど、演奏に関してはここ数年のシティポップに通じるスタイリッシュさもある気がする。

当時もめちゃくちゃ売れたらしいけれど、今ならもっと幅広い世代に受け入れられるんじゃないかなあ。

フリージアン 仰げば尊し for nyamako

"単細胞の全細胞が 新しい輝きを探してる"

関西を中心に活動するインディーロックバンド、フリージアン待望のアルバム。

Vo.マエダカズシの歌声や言葉選びはどこまでもまっすぐで、いつ聴いても胸が震える。「日本語ロック」の真髄がこれでもかと詰まった天性の声。

パンキッシュな熱気と爽やかさが絶妙な塩梅で混じり合った、「少年漫画という概念」を具現化したようなバンドサウンドもかっこいい。実際にこの曲は「ヒロアカ」のOPを自分たちがやったら…という妄想から生まれたそうだし。

SETSUNA BLUE STAR みんなの歌 for nyamako

"でも星達は戦争が起きることをいつも事前に知ってる
その中で僕らは何を自分と呼べばいいのか"

悟ったフリをしながら、内心ずっともがいている。何かと戦っているように見えて、何が敵だったかも忘れている。セツナブルースターはそんなバンド。

救いがないように見えるけれど、その剥き出しの感情は間違いなく誰かの心を救っている。決して他人事じゃない、これは『みんなの』歌だから。

Number Girl TATTOOあり for nyamako

"右肩
イレズミ
明け方
残像"

ナンバーガールを本格的に聴き始めたのは再結成されてからだけど、コロナ禍直前に行ったライブでこの曲のイントロが響いた時、彼らが「伝説」と呼ばれる理由がハッキリわかった気がした。

彼らの音楽にリアルタイムで出会っていたら、俺の青春時代はどうなっていたんだろう…そんなとりとめのない妄想を時々してしまう。

Meringue スターフルーツ for nyamako

"使い損なって鈍く光った その羽はまだ使えそうだ
振り返らずに 抜け出そう"

決してスーパーマンではないけれど、等身大の強さで「君」を守ろうとする「僕」の瑞々しい決意が眩しい。

サウンドをとっても歌詞をとっても、2000年代の良質なポップスの魅力がギュッと詰まった大好きな1曲。

なんでゲゲゲの鬼太郎のEDだったんだろう。当時は謎のタイアップがまだまだ多かったねえ…

Quruli In Your Life for nyamako

"あの場所へ向かえば あの場所へ向かえば
あの痺れるような出会いを 思い出せるかな"

くるりが20年ぶりにオリジナルメンバーでアルバムを作る…その情報だけでも胸いっぱいなのに、先行シングルでこんな名曲を出されて期待値がさらに上がった。

シンプルなバンドサウンド、淡々としたビートの中に感じる、青春時代を思い出すような気持ちの昂り。

原点回帰というのは簡単だが、長いキャリアの中でさまざまな音楽性を乗りこなしてきた集大成のようにも思える。