"本当のことなら 終わりながら 生まれてる
大切なことだけ 何故か うまく抜け落ちてる"
スピッツのトリビュートアルバムに参加していて、
存在はかねてから知っていたバンド。
たまたまサブスクで見つけて、聴いて、
良いなあと感じた。
白いキャンバスに、少し丸まった黒い鉛筆で
丁寧に線を引いていくような、
淡々としているけれど、確固たる意志を感じる音楽。
油断してると突然線が乱れて、
どこにいっちゃうんだと焦るけど、
ひとしきり塗りつぶしたら、
まるで何事もなかったかのように元の位置へ。
そしてまた長い線が伸びていく。
そんな音楽。
羅針盤の03年作がついに解禁。歌ものとしての成熟を感じる決定的な作品。
歌メロがちゃんと主役で、なおかつ山本精一の朴訥かつ超然とした声の魅力が引き立っています。ギターを間引いている場面も多く、バンド全体で歌が響く空間を作っている感じです。(それ故にギターが炸裂する瞬間がより鮮烈)
ほとんど残響がないドラムの音が独特で、安定したビートなのに重力を弱める作用があり、バンドとしてのサイケ具合にかなり貢献しているのではと思います。
月の光に洗われるような良い曲ばかりで、特にこの曲の懐かしさを孕んだメロディを食らうと弱いです。
山本精一関連のサブスク解禁待ちはまだ沢山あります。
羅針盤の4枚目(02年作)。再発に合わせてサブスク解禁です。前作と次作が凄すぎるんですが、これもかなり良いです。
羅針盤史上最もトリップできるのはこの作品。ギターとキーボードが空間全体を包むサウンドが基調になっていて、ジャケットの通り全てが摺りガラス越しに見えます。時間感覚が消えます。この15分超の表題曲がその極みで、光に融けていく感じです。
上記のサウンドでダレることがないのはドラムのタイトなビートに因るところが大きいと思います。坦々とキープされるリズムが実はとんでもなく気持ちいいのです。
羅針盤の03年のミニアルバム。タワレコで本作と"はじまり"(02年作)が再発されてましたが、サブスクも解禁してました。他の作品も後日解禁されるっぽいので凄く嬉しいですね。(こないだCDまとめ買いしちゃいましたが…)
山本精一の歌心とギターのルーツにNeil Youngがいるだろうと思ってましたが、名曲をこうもストレートにカバーしてくれるとなんだか泣けます。曲の親しみやすさと繊細さをそのままに、彼らの浮遊感が嫌味なくミックスされているのが素晴らしい。ドラマーのチャイナさんがここではコーラス、グロッケン、リコーダー、アコギとマルチな活躍。
羅針盤の1枚目(97年作)。ペンギンジャケ繋がりです。先日自宅に3rd~5thが届いたので羅針盤三昧中です。
後の作品に比べると結構荒削りで、特に山本精一の歌と音像の絡みは試行錯誤感があります。不穏な曲もあり、あまりポップじゃないですが、そのドロッとした感じが以降には見られない本作の魅力とも言えます。
とはいえ、この曲はそういう次元を飛び越えた名曲。浮遊感とドライブ感が奇跡的に噛み合って、なおかついいメロディで只々素晴らしいです。
本作を起点に歌ものとしての完成度を高めていきながら、バンド演奏も深化していく様を追っていくのがめちゃめちゃ面白いので、少なくとも5thまでは全部聴きましょう。
羅針盤の3枚目(00年作)。山本精一による歌ものバンドですが、いい作品をいくつか出していて、その1枚がこれ。やっぱ凄いと思い、本作と次作と次々作を注文してしまった。
山本精一の歌とギターの存在感が凄い。何を表現しているのか分からないが(何を、という考えがないのかも)、音そのものに呑まれる感覚がある。なので、ポップな楽曲を制御装置として、何とかバンド形態で演奏できる代物になっているように思います。表題曲であるこの曲は、淡々とクライマックスを迎えているが、普通のバンドより遥か高みにいるはず。
朴訥な歌唱は、自身の楽曲を歌う点において最高です。セルフプロデュースにも長けているのだとも思う。