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紅白歌合戦では『歌よ』も是非聴いてみたかったのだけれど、この難しい曲を堂々と歌い上げた中村佳穂さんの華やかなステージングの余韻ときたら…。
ビョークをも思わせる最初のソウルフルな発声、アドリブが利く彼女らしい演出による掴み。お見事。
イングランドから環境音楽の代表格として1980年代に一世を風靡したサイモン・ジェフス率いるペンギンカフェ・オーケストラ。
民族音楽やクラシック、ミニマルミュージックをクロスオーバーさせた優雅なサウンドをポップに仕上げる試み。そこに不明瞭さを含ませることであらゆるリスナーをも巻き込むことができたのだと。
言わずもがな時代を飛び越えるオシャレな音楽!
1969年キャプテン・ビーフハートの3作目、プロデュースは彼の同級生フランク・ザッパ。
二人の異なる奇才による芸術的自由、アウトサイダー・アートとは何か。
ビーフハートの難曲を、1日12時間のリハを約8ヶ月間バンドの面々は身を削り行ったというストイックさ。
アバンギャルド、フリージャズ、ブルース、サイケデリックロック、パンク…etc はたまたソウル。
聴き込むほど音楽的素養の豊潤さに驚く。
米オースティン出身のシンガーソングライター・デュオ、Hovvdy (ハウディ)の4th『 TrueLove 』2021年作より。
どこかスロウな鬱屈感を残しつつもメロディーが美しすぎるUSインディーの良心。ふと心の隙間に寄り添うような音は、彼らが他人の評価を気にせず気ままに作ったとのこと。
Elliott Smith や Sufjan Stevensをも彷彿。
フィリピン生まれ、イギリスのロンドンを拠点に活動している21歳女性SSW、beabadoobee(ビーバドゥービー)による2021年作。Dirty Hitレーベルより。
90'sオルタナ・グランジ世代ドストライクなサウンドと、Z世代による繊細な感性。The1975のフロントマン、マシュー・ヒーリーとの共作であるこの曲は"地球最後の日"というタイトルの中で、新しい日常を受け入れる歌が軽やかに響いている。
ACID JAZZ、The Apostlesによる1992年作。
Acid Jazzのブームの勢いで渾身のセルフタイトル作ではあるが唯一このアルバムのみで解散。
マーヴィン・ゲイのカバーであるこの曲、ローファイなビートは今の時代も違和感なく聴ける心地よさ。
隠れた名作。
1997年12月10日発表、小沢健二の17thシングル「ある光」。この音源は2018年にシングルよりデジタル配信されたもの。活動休止前の最後のシングルという異名を持つこの曲はプレス数も少なく未だに入手困難。
祖父の死に際し捧げたと言うが、やはり生命の肯定や執着を強く感じてしまう。その後、彼はニューヨークへと移住するのだが…。
曲の長さも気にならない味わい深い傑作。
The Birthdayの10thシングル。2011年 ex.MY LITTLE LOVERの藤井謙二加入後初の作品は疾走感溢れるポップな仕上がり。やはり彼のブルースドライバーの音はシンプルながら噛み締めたくなる音。
チバユウスケが歌う "俺の友達" と言うのはやはりアベフトシのことなんだろうか。
若手ラッパーが集う集団、夜猫族でも活動されているAJAH(アヤ) は福島いわき市のシンガー。
R&Bテイストのショートチューンながら、ビートに絡めながら艶やかに歌うその声には存在感がありソウルフル。客演に呼ばれるのも納得するが、その上ラップもフレキシブルなフロウで心を掴んでくる。
カナダ、モントリオールで活動するBrigitte NaggarによるプロジェクトCommon Holly(コモン・ホーリー)による2017年デビュー作より。
彼女の透き通った声とギターだけでも充分魅了されるのだが、バックのアレンジは実にエモーショナルで、SSW層だけに留まらずインディーロックやエモ・ハードコアファンからも好かれそう。ジャケットから激情系を思わせるアートワークもセンスを感じてしまう。
ザ・スミスの1986年『The Queen Is Dead』より。
物憂げなアルペジオが始終美しく、ジョニー・マーは今でもこの曲は家でも演奏するほど気に入っているそう。
モリッシーが"人の身体のラインを評価するのは馬鹿らしい"と言うように、イントロのフェイド・アウトには成長や対比を表しているかのように感じてしまう。
天性の声ともいうべき、清水美和子によるソロプロジェクトPredawnの2nd『Absence』2016年作より。
ドリーミーポップ、ヒーリングミュージックのような聴き心地の良さを残しつつも、ベルギーのバンドMarble Soundsの作品にも参加したりと、彼女の声はUKロックやポストロックにも不思議と合う。
どこかアイスランドの múm をも思い出させる。
ブリット・アワード2021では『Future Nostalgia』が年間英アルバム賞に輝いた、本アルバムからの6thシングル。
辛い時期に書いたというこの曲は、自分を元気づけるために希望を歌った彼女自身もアルバムで一番好きだと言う一曲。ノスタルジックでもあり、より踊れる曲へと高みを目指した先進的エレクトロ・ポップ。
KiliKiliVillaレーベルを主宰する安孫子真哉氏(ex.銀杏BOYZ) そのレーベル誕生のきっかけを作ってくれたバンドがSEVENTEEN AGAiN。
安孫子氏の千里眼的な美的センスに呼応するかのごとく、このバンドは様々なバックボーンを背景に日本語による歌を中心に添えてくる。
初期 The 1975 や Men I Trustのような80'sテイストのサウンドがポップに響く。
英国グロスタシャー出身のシンガー・ソングライターのFKAツイッグス。どこか謎めいた近寄りがたい雰囲気を持つ彼女は登場時からフューチャリスティックR&Bなどと形容されてきたが、テクノロジーを駆使した芸術的な表現やファッションアイコンとしての活躍ぶりを見ると、やはりビョークを思い出す(彼女は納得していないらしいが) そして客演のThe Weekndも彼女の個性に埋もれることなく寄り添う雄々しさ。
2022年にはアルバムリリースが発表されている。
国内の類稀な歌い手、奇妙礼太郎によるアコースティックカバーアルバム2021年作『song book #1』より。
色々な方にカバーされているスピッツのロビンソンだけれど、喉から絞りだしたかのような伸びやかな声が哀愁をさそい、それがこの世界観にぴったりとハマる
。
奇妙くんの声は四の五の言わずともいい。
米ナッシュビル出身の若きSSW、ソフィー・アリソンことSoccer Mommy(サッカー マミー)の2020年作『color theory』より。
ポップなメロディーに反して、歌詞は色から反映された憂鬱、感情の起伏、心の闇などを紡ぐ彼女。
MVからは90'sのカルチャーの影響も伺える。
Vampire weekend や Phoebe Bridgersのツアーにも帯同し進化を続ける有望株。
山梨のラッパー、役者と多彩な顔を持ちラップクルーstillichimiya代表の田我流と、北は札幌 Mic jack productionのリーダーかつ監獄ラッパーの異名を持つ不死鳥 B.I.G.JOEによる2020年作。
"のんびり歩いたって退屈じゃないだろ?" "人生は一回たった一回しかないんだ 生きてそして笑っててくれるだけで充分" 渋い大人たちのマイペースなユルさの中にある切実なリリック。考えさせられる今日。
ロサンゼルスを拠点とするノンバイナリー・アーティスト、Olive Ardizoniのプロジェクト、Green-House。
現行のアンビエントとして、ここ日本でも各方面から高い評価を受ける。"何かを可愛いと感じる脳の部分に刺激を与えている"という彼女。
陽光が射し込む中、小動物が草原を駆け回るイメージ。今、世界中が密かに欲している音楽なのかもしれない。
NujabesとJ Dilla に敬意を表し制作されたというアメリカのビートメーカーAsoによる2018年『two/seven EP』より。
雨粒が滴るようなウェットな心地よさの中にジャズやヒップホップの要素を組み込む甘美なチルホップ。
眠る前にそっと耳を傾けたい。
Nujabes没後11年の時を経てトリビュートアルバム「Nujabes PRAY Reflections」が完成。
祈るような haruka nakamuraさんのピアノがメロウに響くのは、世界中からもNujabesの音楽を希求する声が絶えず愛されている証拠。長く愛聴したい作品。
1994年生まれのイギリス人シンガー・ソングライターCeleste(セレステ)による2021年作より。
ブリティッシュ・ソウルとR&B色が混じったジャズ調な楽曲は近年の jorja smithや日本の iri にも通じるが、Celesteのパワフルさやエレガントさには思わず息を呑む。エイミー・ワインハウスを彷彿とさせるハスキーな声に魅了される。
香川県在住の音楽家ピアニスト、橋本秀幸さんによる2021年作。
まるで空間をフィールドレコーディングしたような生暖かい質感と、滑らかな鍵盤が誘う映像美。
楽曲がCMにも使われるほどその評価は高い。
空間把握術とも呼べる即興演奏は、ジャズアンビエントとしても楽しめる。
アトランタの若きオルタナティブポップLunar Vacation(ルナ・バケーション)の新作はタイムリーなクリスマスナンバー。
テーム・インパラのようなサイケデリックさをもちながら、自らを"プールロック"と称す程さざなみのようなキラキラしたポップグルーヴがクセになる。
幻惑的なボーカルがドリーミーで更に化けそう。
チャットモンチーが完結した2018年から、2021年にかけて橋本絵莉子さんが録りためた曲たちを『日記を燃やして』と題しアルバムリリース。
絵を描くような感覚で作ったというこの作品は、パーソナルな歌詞も含め、かなりの純度でメロディーの良さが際立つ。いつまでも変わらない彼女の歌を支えたメンバーの一人に Hi-STANDARDの恒岡章さんがドラムで参加してるのも熱い。
ジャパニーズ・アンビエント、環境音楽家、吉村弘さんによる1986年作『GREEN』より。
昭和の時代にしてこの音楽とは驚かされる。
令和に入り再発されたこの作品は、今の時代にはどのような聴かれ方をするのだろうか。
"癒し"と背中合わせにある"混沌"
反復する電子音は実にリアルである。
南アフリカ出身、現在はドイツで活動中の女性シンガーソングライター、アリス・フィービー・ルーの2021年『Glow』より。
すべての工程をアナログで行ったこの作品は、どこか生々しい立体感を持ちAORやジャズの要素を醸す。
それがレトロなのかというと、より現代的な浮遊感でどこか青葉市子さんの世界観を思い出す。
2012年から2016年の短い間に世界のインディーロックファンを虜にした国内の若き5人組Ykiki Beat。
初めて聴いた時の衝撃と言ったら!
同業者からも絶賛され、"もう音楽を辞めてもいいと思った"などの賛辞を受けるほどのセンセーショナルであった。現在はDYGL(デイグロー)としてライブを頻繁にこなし、よりライブバンドとしての強度は増すばかり。
今年の日比谷でのライブが収められたDVDがリリースされたGRAPEVINEの名曲『光について』
LUNA SEAが終幕を迎える2000年に、INORANが当時の自分の思いを代弁してくれた曲だと、20年たった今の時代にもフィットする心に残る曲だと力説されていたのが胸に刺さった。
徳島発の3ピース。奈良のLOSTAGEとも共演してることからわかるように、そのサウンドはNumber Girl 、Sonic Youthなどのオルタナティブバンドの影響下にあり、Bikini Killのようなライオットガールさながら、パンク・ハードコアの硬派な姿勢をも纏うが、残響音の中でこそポップなメロディーは光る。
"ちっちゃい人がでっかい音でかっこいい曲をやっているバンド。"とは本人たちの弁。