『彼は心臓を手に持つと、右心房には白鍵、左心房には黒鍵を取り付ける。そして、正午を少し過ぎたくらいの、やわらかな光が入っているデスクの上に置くと、ゆっくりと目をつぶり、なぜ貴方を思い出すのか?と問いつつ、伸ばした人差し指で鍵盤を押しこむ。きっと、ドとかミではなくて、レとかファ。解決はしないけれど、どこか広がりのある音で』と、僕はこの曲を聴きながら、そんなイメージを妄想する。その後、彼女は部屋に来るのだろうか?それとも既に別れているのだろうか?どちらにせよ、何かに捉えられているっていうのは、ビル・エヴァンスにかかれば美しい。嫌な感じは全然ない。捕らえられたことをそのまま受け取り、それを楽しむ曲。