吉田健一の描くグルメは、細い描写というわけでもないが妙に面白い。そして、この文章にある料理たちが現存するのかどうか調べたくなってくる。50年以上も昔なのに現代に読んでも全くおかしくないのは、食したときの気持ちがしっかり描かれていて、その感情が瑞々しいからなんだろうなあ。細かいが食事の価格が分かるのも世俗的で良いし、然して吉田健一は大酒飲みだ。どさくさに紛れてやたら酒を飲む。その土地の酒をひたすら飲む。良い。
山崎まさよしによると、どさくさに紛れて老酒を飲むと恋人になれるらしい。どさくさに乗じて酒を飲むことがコロナで無くなってしまったから、こういう描写にどうしようもなく心が惹かれてしまう。