アルバムではこの曲でやや毛色が変わって、跳ねるようなリズムが特徴的な、ダンスミュージックっぽさがより強調されます。バンドの代表曲のひとつというくらい有名な曲で、やはりメロディセンスもリズムの取り方も洗練されていてかっこいいです。また、"You own personal Jesus"、「自分だけのイエス」という歌詞も、キリスト教世界の絶妙なニュアンスがうかがえて好きです。もちろんラブソングとしての側面もありますが、そこからさらに一歩踏み込んでいるような姿勢が見えます。
アルバム"Violator"ではこの前が”Enjoy the Silence"であり、一つの節目を過ぎてややそれまでとは変わった曲になります。イントロの時点から、実験的というか、それまでのメロディ偏重でともすればポップだった曲達と比べ、奇妙な印象を与えるリフが特徴的な、いってしまえばよりニューウェーブらしい曲になっています。ただしボーカルの魅力には変わらない部分もあり、個人的にはリフが好みなのもあってかなり好きな曲です。他と比べても乾いた音にちょっとしたCabaret Voltaireのようなポストパンクさ、インダストリアルっぽさがあるのもいいと思います。
アルバムで聞くと、前の"Waiting for the Night"で抑えられていたものがここにきて解放されるようにして、すぐさま始まるのが特徴的です。リフも、簡単なメロディでありながら曲の無機質さと音の心地よさを両立しているように思います。"Words are very unnecessary / They can only do harm"と歌った後にこのリフを流し、ボーカルのない"Silence"を聴かせる演出も効果的に働いているのではないでしょうか。
イントロからアンビエントらしさが強い曲で、尺も6分前後と長めです。アルバムでは前の曲"Halo"からさらに暗く静かになった曲調は、一見起伏がないようでも音は細かく移り変わり、やはり流石というべきこだわりがむしろ感じ取りやすくなっているようです。この曲は次曲"Enjoy the Silence"にもかかってくるような感じが強く、"Waiting for the Night "というタイトル、"all that you feel is tranquility"という歌詞も、そう考えると示唆的です。彼らの構成力とクレーバーさが見えます。
Depeche Modeでも特に名盤とされているViolatorですが、やはり一曲目からテクノを楽しんでいる感じが伝わるというか、あたかも音を使って好き勝手に遊んでいるかのような雰囲気はバンド全体を一貫しています。また、個人的には、このややエキゾチックな旋律もDepeche Modeの特徴の一つだと思います。テクノ寄りのニューウェイブということもあり繰り返しが軸になりますが、繰り返されることにより旋律の意味合いが重層になっていくような感じがあります。