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Minami Kitasono ミッドナイト・ブルー for aoba_joe

北園みなみの15年作。
10年ほど前に颯爽と登場したポップス職人で、LampやGuiroでの鮮烈なアレンジも素晴らしい仕事でした。長らく不在でしたが、何とニューアルバムが完成したそうで、とても楽しみです。
冨田ラボ的に何でもできちゃう人ですが、特に管弦の躍動感溢れるアレンジと予想を裏切っていくメロディが素敵。1曲の情報量が濃すぎるので、ミニアルバムが丁度いいサイズと思ってます。さて、新作ではどうなのか…
ポール・シニャックのジャケも素晴らしいです。

OGRE YOU ASSHOLE 自然とコンピューター for aoba_joe

Ogre You Assholeの新作です。
今回は"自然とコンピューター"という作品。
二項対立で捉えがちな両者を並列にして、その境目すらグズグズに融かすような、でも混じり切らないような、そんな具合のサイケデリックグルーヴ。そこに陶酔せずに不穏さを残すところがやっぱり彼ららしいところです。

mitsume タイムマシン for aoba_joe

ミツメの1st(11年作)。先日のKaedeのシングルを機にミツメをちゃんと聴こうと思った次第です。2ndから知ったので、初めて本作を聴きました。
ひねくれたメロディと叫び切れない調子外れなボーカル、ヨレヨレな演奏からは、もがきながら何者でもない音を奏でようとする青臭さを感じます。それにしたってギターはエモいし、ふとした時に良いメロディが舞い込んでくるのが、何というかズルい。

この曲の"君のよく遊んだ河が埋め立てられたね"という冒頭の下りは、スピッツの"アパート"という曲の冒頭の"君のアパートは今はもうない"と同種の喪失感があるので良いです。

Perfume Morning Cruising for aoba_joe

Perfumeの新作。前作"PLASMA"が個人的に久々にハマってライブも行ったんですが、今作の出来は上回っているかもしれません。ジャケで心配した方は杞憂です。

コンセプトアルバムという体で、レトロ感あるエレクトロディスコな作風に焦点を絞った10曲35分という潔さ。キラキラしたシンセ音が印象的ですが、歌がよく聴こえるように音の抜き差しが絶妙です。
前作の"Drivin' The Rain"に続きシティポップ調なこの曲とラストにブチ上がる"メビウス"が特に好きです。後編も思う存分振り切ってほしい。

絶対叶わないんですが、本作の曲を生バンドでやったらめちゃめちゃカッコいいと思います。

EGO-WRAPPIN’ 満ち汐のロマンス for aoba_joe

涼しくなったせいか、EGO-WRAPPIN'のこれが無性に聴きたくなりました。
こういう密やかな曲をタイトルトラックにするところが最高です。この曲を含む"Calling Me"〜"Wherever You May Be"の流れをお風呂とかで聴いてると微睡みの中で彼岸が見えます。
アッパーな曲も込みでの全体の完成度が驚異的なのはさることながら、こうしたひたすらに浸る時間を確保しているところが、JPOPの中でも本作を特別たらしめているように思えます。つまり超名盤です。

Kiyomaru Togo あたらしい鰓 for aoba_joe

東郷清丸の新曲。艶やかな声はそのままに、畳の薫りがするような土着性(?)を感じます。
ジャケのような民芸感があるというか…色彩を抑えつつも地味にならない気品と洗練があるというか…この路線が結実したらオルタナティブ折坂悠太みたいになるのかも。
彼の現在地は先日配信されたライブ盤でも楽しむことができます。

Sayonara Ponytail 虹を見たかい for aoba_joe

さよポニの新作。15年に及ぶ活動でフルアルバムとしては10枚目。相当なハイペースですが、今回も粒揃いの楽曲で充実しています。
先行シングルが半数以上を占めているのが気にならない程にアルバム曲もいい感じ。近年はキラキラした曲を意識的に顔にしている感ありですが、個人的にはこういうみぃなボーカルのアコースティック曲が肝だと思います。

余談ですが、チャゲアスのサブスク解禁に合わせて、さよポニの"SAY YES"カバーも解禁してほしいです。

Ravyn Lenae Days for aoba_joe

Ravyn Lenaeの新作。一昨年の前作や先日のKaytranadaの新作での客演も最高でしたが、ガラッと趣きを変えてきました。
可憐で夢見心地な歌声はそのままですが、ネオソウル的なメロウさや神秘性は後退して、カジュアルな雰囲気に。これはこれで馴染みがよく、前作と甲乙つけがたいです。
ラストのこの曲は、最早ふかふかの布団に浄化される類の心地よさで、聴けば聴くほどに投稿する手が止まってしまいます。

CHIYORI,YAMAAN,mariapepinos おめでとう PARABIÉN for aoba_joe

YAMAANの新作が早くも登場してありがたい限りです。今回は盟友CHIYORIとチリのアーティストとの作品。
朝、森林浴をしながら聴ける特異なヒップホップ。細やかなトラックがそのまま自然の多様な音のようで圧倒的没入感を味わえます。安らかに覚醒できます。

金延幸子 春一番の風は激しく for aoba_joe

久々にタワレコを物色して、昨年リイシューされてた本作のLPを買いました。
久保田麻琴リマスターで、ジャケや帯やらの造りもかなり丁寧です。リマスターの音は、本人の声の軽やかさが伝わってくる音に聴こえました。
本作を聴くと、個人的には何故か遠い季節に思いを馳せる気分になります。だから今の時期で言えばこの曲なのです。風が激しさではなく、春の到来を心の内で喜ぶような静けさがとても好きです。

Kaede いけない for aoba_joe

NeggicoのKaedeソロの新曲はミツメの提供および演奏。毎度外れがないソロ曲ですが、特に相性の良さを感じます。
些細な違和感が"いけないことしてる 気持ちを抱えてる"という印象的なフレーズに集約されていて、そのニュアンスとKaedeの声が非常にマッチしてます。グルーヴの気持ちよさより微妙な心持ちを醸すことを優先しているミツメの演奏は、地味ながらやっぱ独自の成熟を感じさせます。
新潟の青々とした田園風景を楽曲のムードに引き寄せたジャケもハイパー素晴らしいですし、カップリング曲も良いです。

Oso Oso the country club for aoba_joe

Oso Osoの新作。最近ロックの投稿はご無沙汰でしたが、こんなに潔いインディロックにはとにかく最高と言うしかないです。
前作はもう少しシリアスでつんのめった曲もあったはずですが、本作はジャケのような呆気らかんとした曲が徹頭徹尾続きます。いい意味で何も残らない清々しさ。ルーズな感じと歯切れの良さの塩梅がちょうどいい演奏が肝です。
個人的にはandymoriの"革命"を思い出しました。あれもすごく好きな作品です。

Harold Budd Bismillahi 'Rrahman 'Rrahim for aoba_joe

Harold Buddのハイパー超名作"The Pavilion of Dreams"(78年作)はSpotify未解禁かと思いきや、この1曲目だけ聴けるようです。
エレピとサックスによる万華鏡的な甘美な夢を延々と味わえる18分半。早く起きちゃった土曜の朝とかにこれをかけて布団にもう一回入るのは、人生でも有数の至福に違いないです。だいたい即寝落ちにつき、LPだとB面に辿り着けません。

Carlos Aguirre,Silvia Salomone,Jorgelina Barbiero,Florencia Di Stéfano,Natalia Damadian,Mono Fontana,Luis Medina,José Piccioni El hombre que mira al mar for aoba_joe

Carlos Aguirreの11年作。私にとっては信仰の対象みたいな作品につき、逆に多くを書くことができません。
小さな音で聴けば部屋が芽吹き、大きな音で聴けばCarlosの描く川辺の自然に四次元レベルで没入できます。とりあえず冒頭のこの曲では、Mono Fontanaによる川面の光そのもののようなピアノが凄いです。

the sleeping beauty Prairie Home Suite Part 4 for aoba_joe

鳩っぽい。絶妙にキモジャケ。
鳴っている音はとても穏やかで、曇天で雨降りがちな午後の気怠さに馴染みます。休日よ続いてくれとこれを聴いて祈っています。

Cities Aviv You Would Come for aoba_joe

Cities Avivというメンフィスのラッパーの新作。タイトル的にお蔵入りトラック集っぽいんですが、中毒性およびトリップ度が高い彼のトラックの魅力を気軽に楽しめてとても良いです。
ソウルフルでファンキーでスピリチュアルでサイケでバレアリックな感じが、くぐもった音で一緒くたに気持ちええ音として耳に入ってくる乱暴さが好きです。
この曲はサンプルをズタズタに切って入れ替えてもなお、元の煌びやかでファンキーなグルーヴが浮かび上がってくるあたりがかっこいいですね。

これ良いなと思った方は22年作の怪作"Man Plays The Horn"にチャレンジしてほしいです。

Oh Shu Square for aoba_joe

王舟の新作。11曲20分なので何度でも新鮮に聴けちゃいます。無国籍で何となく緩い開放感は従来通りの魅力ですが、何だかリズムがエグいです。
この曲は、よれ気味のリズムとゴスペル的なコーラスが新機軸な作品でかっこいい。これもたった2分にまとめてしまう潔さ。
本人のボーカルが少ないのが寂しいですが、音は今まで以上にさりげなく雄弁で、間違いなく傑作です。

cero outdoors - Recorded at Tama Riverside & Hibiya Yaon 2020.6.27 for aoba_joe

ceroのライブ盤。個人的には超長らく待ち望んでいました。
選曲や曲順、演奏に文句なく、"e o"の冷めた雰囲気を引き継ぎつつ、熱を帯びている不思議な感覚が長く聴けそうな仕上がりです。

この曲のみ、20年の野音の無観客配信ライブの音源という采配の妙。デビュー当初くらいに演奏しながら公園とかを練り歩く動画がありましたが、その頃を彷彿とさせます。
ここから"Poly Life Multi Soul"への繋ぎが素晴らしいのですが、恐らくCD限定の"街の報せ"で締めてこそ、この作品は完成するような気がします。CDが届くのが待ち遠しいです。

paris match cerulean blue for aoba_joe

paris matchの3枚目(02年作)でたぶん代表作。私はこれと4枚目と6枚目が好きですが、声のアンニュイさを活かす曲やアレンジという点で、一番paris matchらしい作品かと思います。
セルリアンブルーとはどうやらジャケのネイルの色のような青みたいです。サビの淀みないメロディと淡く重ねられたコーラスにこの青が宿っています。

Spotifyのリスナー数を近隣のアーティストと見比べると、まだcity pop評価の俎上に乗っていないのかもしれません。そうだとしたら勿体ないですね。

Meshell Ndegeocello Pride II for aoba_joe

眼じゃな。Meshell Ndegeocello、昨年の眼ジャケの傑作と今年のSun Raトリビュートに続いて早くも新作です。James Baldwinという公民権運動家の黒人作家へのトリビュート作品。
Baldwin作品の朗読(?)とかもあるので、解説なしに聴くのにはどうしてもハードルが高い。しかし、音のクオリティはやはりべらぼうに素晴らしいです。彼女のベースがグルーヴを牽引する曲が特に好きです。
凄さだけは察しつつも、次々に新作を投下される歯痒さよ…

Charles Mingus II B.S. - Edit for aoba_joe

セルフジャズフェス中。自らの名を冠するあらゆる作品の中でも、有数のインパクトを誇るMingusの63年録音作"Mingus Mingus Mingus Mingus Mingus"です。

ビッグバンドのアンサンブルがキレッキレな作品。トロンボーンやチューバ込みの重厚感が良いです。特に冒頭のこの曲はベースのみの前奏からホーンセクションが疾走するテーマ、ソロと徹頭徹尾緊張感が途切れません。"Haitian Fight Song"という曲のリメイクですが、過去作での演奏がゆるく聴こえるほどです。曲も演奏もめちゃめちゃかっこいい。

Nala Sinephro Continuum 10 for aoba_joe

徒歩圏内でジャズフェスをやっているのですが、行けないので、自宅でセルフ開催するしかありません。
Nala Sinephroの新作は、アンビエントジャズと括るのがどうでもよくなるくらいに何だか良い作品です。心は安らぎつつも、10曲がシームレスに続く中でテンションが上がっていく不思議な作品。
ジャズっぽい音というか、志向する自由さにジャズっぽさがあるような気がします。

Original Love ムーンストーン for aoba_joe

Original Loveの02年作。カタカナを臆面もなく配置するジャケが好きです。
アコースティックな要素が目立つオーガニックな演奏と艶を増した歌声が素直に楽しめるんですが、前作までの実験性を織り込んだ怪しさも存分に発揮されててスリリング。渋くてエロいです。
ラストのこの表題曲は、軽やかに真っ白な未来を彩っていく希望的な楽曲で、簡素だからこそ最高といえます。アナログで出てほしい作品です。

ピチカート・ファイヴ グッバイ・ベイビイ & エイメン for aoba_joe

Pizzicato Fiveのセルフタイトル作(99年作)のラストに入っていた曲。最終作"さ・え・らジャポン"(01年作)は企画色が強いので、彼らの実質的なラストがこの曲だったと思います。
シンプルな繰り返しで20世紀(とPizzicato自身)に明るく別れを告げる曲で、前ボーカルの田島貴男も華麗に客演。この湿り気のなさと気高さが良いです。

恐らくですが、この曲ははっぴいえんどの"さよならアメリカさよならニッポン"を下敷きにしているはずです。(と書いて、はっぴいえんど再結成時のこの曲でコーラスに彼らが参加していたことを思い出した)
両者とも我々に別れを告げてどこに向かったのか…

Yumi Iwaki Nocturnal for aoba_joe

H Takahashiが主宰するKankyo Recordの作品がSpotifyで解禁されています。これはYumi Iwakiという方の23年作。カセット+お香という形態で販売されたようです。
個人的には音楽と匂いが関連付けられることって殆どないので、お香の香りが実際に音楽の聴こえ方にも影響するのか気になります。作品自体はとても良質なアンビエントで好みです。

Isik Kural Most Beautiful Imaginary Dialogues for aoba_joe

Isik Kural超待望の新作。
昨日から無限ループしていて最高です。しかし、現時点で伝える言葉を持ち合わせていないので、Most Beautifulなこの曲の詩に語ってもらいます。

月光がまつげと眠りの間をすり抜ける
一歩一歩慎重に

雲の尾から、山の頂上から
あなたの声に、最も柔らかな雫に

ふたご座の月
今宵、いつかの夜の思い出が蘇る!

MariMari Everyday, Under the Blue Blue Sky for aoba_joe

祝、MariMariが一部Spotify解禁です。これは97年の1st。シングル曲が柏原譲、アルバム曲が佐藤伸治プロデュースというFishmans全面関与の作品。作詞作曲は全てMariMari本人です。

"宇宙 日本 世田谷"期の佐藤伸治サウンドが中心なので非常に閉じたプライベートな音が楽しめます。ただ、本人の伸び伸びとした歌声が活きているのは、この1stシングルです。バックがほぼFishmansバンドで、どこまでも青い空に歌声とHonziのバイオリンの名演が広がっていきます。Fishmans自体よりリラックスした演奏が良いです。
アルバムだと爽快感溢れるラストを飾ってくれています。

CHAGE and ASKA WALK for aoba_joe

チャゲアス解禁ということでベスト盤をやっと通しで聴けました。
79年デビュー時から、88年の"恋人はワイン色"あたりまでの試行錯誤を踏まえて以降の名曲群を聴くのが面白いです。こういう歌謡からJPOPの変遷を自ら辿った人って他に結構いるのでしょうか。

88年以降の曲は全部凄いです。緻密なアレンジと偏執的な多重コーラス、一捻り二捻り効いたメロディ、何より声の迫力。圧倒的に濃いです。
特にこの曲は、普通の名曲でいうサビが2つ直列された巨神兵の如き作品。このスケールで"君を失うと僕のすべては止まる"と真正面から歌われる威力に打ちひしがれてしまいました。

KUKIKODAN 青い花 for aoba_joe

アニメ"青い花"のOP。志村貴子の原作漫画しか読んでないですが、作品の繊細さとマッチしてます。様々な思いが色とりどりの花束になると歌いつつ、"青い花"がどんな思いを象徴するのかは聴き手(とアニメ作品)に委ねるような余白が非常に美しいと思います。
ドラムが佐野康夫でキレッキレなグルーヴになっているのが意外ですが、凛としたバンドに爽やかさをもたらしていて良いです。
空気公団としても会心の名曲です。しかし、彼らには山のように名曲があるのです。

今度アニメ化される"淡島百景"の主題歌も空気公団でお願いします。

君島大空 瓶底の夏 for aoba_joe

君島大空の最初の作品(19年作)ですが、マスタリングが畠山地平と知り驚きです。こういう曲とか聴くと相性良さそうと腑に落ちます。個人的にはあまり聴いてませんでしたが、最初からほぼ独力でとんでもない音を出してます。

今の時期的には、"瓶底に沈めた夏の雨に溶かされた僕らが水面に揺れる"というフレーズが光るこの曲でしょうか。彼の手腕にかかると本当に瓶底に漂っていた夏を思い出すかのようです。
フィジカル面が爆発した直近作も素晴らしいですが、光と空気と時間を魔術的に混ぜ合わせるこうした側面もとても好きです。