フリー・フォークの旗手Devendra Banhartの2005年作は、22曲75分という圧倒されるボリュームに怯む大作。
ただし大作と呼ぶにはラフ過ぎて、良くも悪くも散漫で無垢なアルバムだ。
ローファイでオルタナティブな手触りの中に、自身のルーツであるエキゾチカの感覚も忍ばせた独特のアシッド・フォークの数々は時に優しく、時には残酷な表情を見せる。
終盤にそっと置かれたこのラブソングがなぜかお気に入り。
野心も実験性も捨て去った剥き出しのアコースティック・ソングで、まるで呼吸するように不安定に揺らぐギターと、どこにも行けない、カタルシスを忌避したような歌声が浮かんでは消えていく。