kita kouhei

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kita kouhei Innocence in Sepia for aoba_joe

北航平の今年2枚目の新作。ピアノと鉄琴とフィールドレコーディングでほぼ構成されています。
ピアノの演奏がとても慎ましく、ピアノの1音1音の間を浸すように流れるフィールドレコーディングの音を味わう作品かと思います。
窓を明け放って聴いていると、外の音と本作の音が完全に混じり合い、ある意味トランス状態に至れます。めっちゃ蒸し暑いですが、扇風機をガンガンにかけてそんなことをすると、精神的納涼が果たされる気がします。水分は摂りましょう。

kita kouhei But Beautiful for aoba_joe

北航平の半年振りの新作。最近アンビエントの新作に心惹かれない日々だったのですが、やっぱり北航平は格別でした。
今回はSFがテーマらしく、確かに音の広がりに非現実感が漂っているような気もします。とにかく様々な打楽器の音の配置が素晴らしく、フィールドレコーディングと交じることで、世界そのものが奏でる音を体験しているように感じます。
愛猫家とのことでこの曲にも猫の鳴き声がサラッと登場していて実に和みます。

kita kouhei Fern Genealogy for aoba_joe

今年6枚作品を出した北航平ですが、個人的にはこの"Neospecies"が一番よかった。
ベースがめちゃめちゃ太い音なのがいいです。アンビエントでここまでの音は聴いたことがなかったです。この人の他の作品でも見られません。
極太ベースとビートの間引かれ具合が、リズムパターンをパターンと感じさせないし、より流動的な打楽器の音やメロディがそこに加わってくるので、聴きやすいけど意外と掴み切れない不思議な音が出来上がっています。
付け加えると、面白い音なのに眠れるというのが一番重要です。

kita kouhei Idealism (Ripples) for aoba_joe

北航平の今年5枚目の新作こと"Idealism Ⅱ"がリリース。8月の続編らしい。ⅠとⅡを順番に聴いたけど違いが分からない…ほどにどちらも良い作品です。
タイトルの"観念論"とは"精神的なものが外界とは独立した地位を持つと考える思想"とのこと。彼の音楽は自然の描写的なイメージがあったので意外なタイトルに感じました。もしかしたら、本人の頭の中で純粋にイメージする音楽(外界や肉体の制限がない音楽)を鳴らそうとする試みなのかもしれません。
飛び交う思考の瑞々しさを保つためか、断片的なスケッチのような曲が多いのですが、素朴な美しさにふと耳を奪われます。そして具体的なものを想起させない透明さを感じます。

kita kouhei 喰われ歌 - イントロ for yamabato

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kita kouhei,平井真美子,Naotaro Moriyama 安住の闇 for aoba_joe

北航平の今年4枚目の新作が出ました。コラボ相手の平井さんのピアノがフィーチャーされているのが、ソロ作との違いです。
ピアノがあるとメロディやコードが明確になるので、各タイトルが珍しく日本語のとおり、対象をある程度具体的に表現するような演奏になっているかと思う。ただし、単に物静かな作品でなく、両者の即興的な対話が少しゴツゴツした手触りを残しているし、中にはピアノが打楽器的に機能する曲もある。意外と振り幅があって刺激的です。
この曲は森山直太朗が声で参加しているが、彼の美声を闇のなかで見事に響かせる「間」の作り方が素晴らしいと思います。

kita kouhei A Painter's Diary #1 for aoba_joe

暑さへの倦怠感からアンビエントしか聴かない日々が続いています。これは北航平の22年作で、程良く清涼感と覚醒をもたらしてくれる作品です。
画家のパウル・クレーの作品にインスパイアされたアルバムであり、表題のこの曲では何かを描いている(書いている?)音が聴こえてくる。創造に対する敬意を表しているようでもあり、リズムを委ねているようにも聴こえる。音楽的には不規則だが、描き手の明確な意思に基づくリズムは不思議に心地よく、シンセの音もあくまでそのリズムを引き立てているかの如く控えめな美しさ。
パウル・クレーという画家は大量に面白い絵を描きまくった人なので、インスパイア元としてすごく納得できます。

kita kouhei Aurora Signal for aoba_joe

北航平の2nd(16年作)で、ご本人が納涼にお薦めしていたので聴いてみた。最近の作品より明確なメロディやリズムの曲が多いので単純に聴きやすいと感じました。時系列で追っていくと深化の経緯が見えてきそうなので、寝る前のチルがてら聴いていこう。特にこの曲が水面のキラキラのようで好きです。

kita kouhei Call, Pt. 2 for aoba_joe

北航平の今年3枚目。彼を今年発見できたのは個人的にかなりの収穫でした。
前作は、無音の空間や作為無作為そのものも作曲しているかのような配慮が行き届いた、完成度の高い作品だったが、こちらはもうちょっとカジュアル。自然と浮かぶメロディや音の配置を比較的素直に並べたスケッチが15曲。少しくぐもった音が柔らかく耳を刺激する。贅沢な聴き流しが許される有り難い時間を頂戴いたします。

kita kouhei Anthesis for aoba_joe

京都の打楽器奏者の新作。「音と音楽の境界」で彷徨っているかのような曲が並び、意識的に聴いても無意識に聴き流しても面白い作品。
先日、某芸術大学の卒展で見た、指で凹凸を触って読む本(点字ではない)を思い出した。そういう皮膚感覚の想像力を味わう作品に思える。そして、身体の表面だけではなく、実に意識の深層まで作用していきそうな余韻がある。
ここで鳴る音は、石庭のように丹念に配置されているようにもランダムに連続しているようにも聴こえ、耳を傾けるほど意識が覚醒していく感覚に陥る。他の曲で聴けるフィールドレコーディングとの相性も良い。