
yamabato
読書忘備録
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他者の悪い点にばかり意識を注いだ場合、私たちのものの見方は否定的な暗雲によって覆われることになる。 私たちの思考は悪意に満ちたものとなり、精神世界もそのようになるのである。下方への社会的比較は私たちを助けることなく、むしろ、 実際的な危害を加えることになる。 P30
『クリスティーン・ネフ - セルフ・コンパッション』より。これは、悪い側に偏る能力主義に繋がる話か...
懐かしい・・・。
情報が溢れている社会だなんて言うけれど、溢れているのはマジョリティ向けの情報だけだ。
マイノリティ向けの情報は、相変わらず、偏在し、限られたところでのみ流通している。
そんななかで、マイノリティがよりよい暮らしをしようと思ったら、他の当事者と「つながる」 しかないのだ。現状、そういうことが起こっている。P71
『雁屋 優 - マイノリティの「つながらない権利」: ひとりでも生存できる社会のために』 より。
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・寝だめはできない
「睡眠圧」(睡眠科学では、睡眠が不足したときに、眠らせようと抗う力と表すことがある)
「睡眠圧」は、起きている間に積み上がり、眠ることで解消される。借金が溜まり、返済しているのだが、不便なことに、貯蓄ができない。
前もってたくさん眠った(寝だめをした)として、それ以前に溜まっていた借金はゼロになるかもしれないが、たくさん眠ったことで何かがチャージされるわけではない。いくら寝だめをしても、その後に起きることで、また借金が積み上がるのだ。
貯蓄が許されず、起きている代償として借金を背負わされ、眠って返済する。p54
『金谷 啓之 - 睡眠の起源』より
つらい夜、その夜を過ごしたあとでは名前を変えなければならないほどつらい夜がある。そのとき、人はもう同じ人間ではないからでもある。
『E.M.シオラン - カイエ: 1957-1972』 より
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マイクロアグレッションを含んだ発言を指摘するよりも、相手との関わりを減らしたり聞き流したりして、相手に伝えることを諦める方が楽。私自身も含め、マイノリティがそう判断するシーンは少なくない。
そのような現状を踏まえると、私がマイクロアグレッションを含んだ発言について指摘してもらえたのは、本当に幸運でしかない。
説明すれば理解する人間で、なおかつその人にとって説明のコストをかけるに値する相手だと判断されたから、指摘してもらえたのだ。本来、他人のマイクロアグレッションを指摘するのは、ひどく疲れるのだ。P38
『雁屋 優 - マイノリティの「つながらない権利」』より。
二月度読んだ本
・宇野 常寛 - 庭の話(講談社)
・あさの あつこ - あなただけの物語のために どうすれば自分を信頼できる? (筑摩書房)
・高井 ゆと里 / 周司 あきら - トランスジェンダーQ&A 素朴な疑問が浮かんだら(青弓社)
・アーロン・アフーヴィア - 人はなぜ物を愛するのか 「お気に入り」を生み出す心の仕組み(白揚社)
神経科学者サポルスキーは、生涯愛し続けることになる音楽を初めて耳にするのは、たいてい二〇歳になる前であることに気づいた。さらに、新しいスタイルの音楽を初めて聴いたときの年齢が三五歳以上だと、それを好きにならない確率が九五パーセントを超える(「こんなのは音楽ではなく、ただの騒音だ!」)。
この発見は、音楽ストリーミングサイトの〈ディーザー>による研究で立証された。新しい音楽を発見する年齢のピークは二四歳で、ほとんどの人は三〇歳あたりで新しい音楽を発見しなくなることが判明したのだ。P190
『アーロン・アフーヴィア - 人はなぜ物を愛するのか』 より。興味深い研究。
自分のことをどれぐらい知っているかは、相手との差異を理解するときにも、精神を壊さないためにも、仕事の円滑な遂行のためにも本当に大切なことなんだけど、この感覚なかなか共有されにくいんだよな。
これは自分が死ぬまで付き合っていく課題だと思うんだけど、若いときにそんな話をしてくれる大人とは出会えなかったのが残念だった。(本の中には、いたのが救い)
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どんな世界からもつまはじきにされているように感じるのは、どんな世界もつまはじきにしているから。
自分で決められる部分なんてなにひとつ残されてないみたいな世界で、たくさんのことを決めなければ、他にどうすることもできないのだと途方に暮れている。
なにもしたくないのに、したくないからこそ、なにをしないか決めるしかない。
やりたいことを見つけるより、やりたくないことを見つめるほうが輪郭がはっきりする。P31
『浅井 音楽 - しゅうまつのやわらかな』より
朝は一日の始まりだけれど、いつも希望に彩られているわけではありません。
絶望とか失望とか、怯えとか落胆とか、そういう触れたくないものに繋がっていることもたくさんあるのです。
朝の光が眩しければ眩しいほど心が沈むことも、空の色が美しければ美しいほど身体が重くなることも多々あります。
そういうときは、思い出さないで。何も考えずじっとしていてください。
動かないことが、何もしないことが最良である。そんな日もあるのです。P81
『あさのあつこ - あなただけの物語のために』 より
人が愛するモノについて語る場合と単に好きなモノについて語る場合にどんなことを言うかを比較したところ、興味深いパターンが見つかった。
あるモノが自分のアイデンティティを表現するのを助けてくれるか、あるいは暮らしをもっと有意義なものにしてくれることによって、自分という人間の最も奥深い部分に結びついている場合、そのモノを真に愛していると言う確率が、それ以外のモノの場合と比べておよそ四倍になるのだ。
愛したことのある人なら誰でも知っているとおり、愛とは深く豊かな経験である。P25
『アーロン・アフーヴィア - 人はなぜ物を愛するのか:「お気に入り」を生み出す心の仕組み』 より
何より面倒なのは、性別らしさというのが他者からの評価に直結していること。 性別らしさは、目立つところでは服装や髪形、話し方や歩き方にも反映される。
そして、「その性別らしくない」というふうに見なされると、ただそれだけの理由で、他者からの信頼度が下がったり、責められたりもする。P12
『高井ゆと里 / 周司あきら - トランスジェンダーQ&A』 より
無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)から逃れるのは難しい。
自分を受け入れることを学んだ人は他人を受け入れる力も増大し、多くの人と友情を結ぶことが可能となるものと思われる。嫌悪の感情は愛することへの道を拓いてくれるものである。P162
『河合隼雄 - 働き盛りの心理学(新潮文庫)』より
友人の新作EPから。掛け値無しに良い作品です。
●回避的人種主義 aversive racism
人種平等を積極的に支持し、自分は人種差別をする人間ではないと思っている人が無自覚にもっている人種的マイノリティに対する否定的な感情や信念。人種主義を偏見として捉えたもの。
『河合優子 - 日本の人種主義: トランスナショナルな視点からの入門書 (青弓社)』 より
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さっさと答え合わせしても力はつかない。成果は結果にあるが、成長はプロセスによってもたらされるP175
『波頭 亮 - 論理的思考のコアスキル (ちくま新書)』より
最近chat gpt使い過ぎていたので、遠回りしてでも、自分で物事を考えている時間が減ってしまいる...。
"謎や問いには、簡単に答えが与えられぬほうがよいのではないかと。不明のまま抱いていた謎は、それを抱く人の体温によって成長、成熟し、さらに豊かな謎へと育っていくのではあるまいか。
そして場合によっては、一段と深みを増した謎は、底の浅い答えよりもはるかに貴重なものを内に宿しているような気がしてならない。" by 黒井千次
●デジタル片づけのプロセス
①30日のリセット期間を定め、かならずしも必要ではないテクノロジーの利用を休止する。
②この30日間に、楽しくてやりがいのある活動や行動を新しく探したり再発見したりする。
③休止期間が終わったら、まっさらな状態の生活に、休止していたテクノロジーを再導入する。その一つひとつについて、自分の生活にどのようなメリットがあるか、そのメリットを最大化するにはどのように利用すべきかを検討する。P82
『カル・ニューポート - デジタル・ミニマリスト: 本当に大切なことに集中する』 より