映画『ベルリン・天使の詩』でニック・ケイヴを知った。ライブのシーンで本人がカメオ出演している。それまで聴いたことのない曲で、ダークで魅力的な雰囲気とその迫真さに衝撃を受けたのを憶えている。
緊張感のあるピアノのテーマと突然爆発しそうになるような不安定なボーカルが特徴的だ。曲の内容はアパートの上の階に住む女性に異常な執着心を抱える男の話となっており、これだけ聞くと気持ち悪いストーカーの歌みたいで嫌な感じがするが、そんな眼差しで単に物語の外側から男を見ることをこの曲は許してくれないだろう。あまりにもリアルで深刻な音が鳴っているので、自分の問題として心の内側を深く抉られるような気がしてくる。