【 #好きなポイント 】
・冒頭の少しこもった音のドラム
・イントロのDとEm7を繰り返すギター
・Bメロ裏のギターアルペジオ
・サビの「キミの夢が叶うのは 誰かのおかげじゃないぜ」
表題曲であるこの曲は、アルバム全体の締めとして、これまでの諦観や悲哀をまとめて煮詰めたようでありながら、一方で前へと進む力強さも兼ね備えています。「歳を取って忘れられてく 痩せた枯れ木に」「星が咲いていた」という歌詞がとても好きで、「Please Mr. Lostman」という、ビートルズなどがカバーする有名な楽曲をもじったサビの呼びかけには、彼らの中に眠るロックという音楽そのものへ訴えかけるような迫力があります。消え入るような曲の終わりに、一つのコンセプトを持ったアルバムが終了する美しさを聞き取ることが出来ます。個人的には、ピロウズでも一二を争う好きな曲です。
このアルバムでは一見浮いているような曲です。元ネタはキュアーの”Boys Don't Cry"でしょうか、とにかく、アルバムの中ではややクリーンめなギターリフが特徴的な曲で、歌詞を見てもコンセプトありの曲のように思えます。ここで歌われる「悪名高き彼女」は、やはり気丈ですがどこか儚げで、その実何を考えているかは、こちらから全く未知な女性として描かれています。彼女に「惹かれている」にもかかわらず、「キスしてぎゅっと抱きしめたい」と願うだけにとどまる主人公の感情からは、ピロウズらしさとこのアルバムらしさの両方を見とることが出来ます。
「飛び降り自殺」というあまりにといえばあまりにストレートなタイトルですが、歌詞を見るとその内実は全く単純でないことがはっきりわかります。「自殺」は、この曲では「飛躍」や「転身」といった意味を持っているようにも読め、「鏡」の物象を通した自己同一性の問題にも深く切り込んでいることから、これもまたバンドの覚悟を示す曲であると考えてもよいのではないかと思います。周りから排斥され、それでも進まねばならない悲しみはこのアルバムのひとつのテーマだと思いますが、それが「自殺」というトピックによって綺麗に表現されています。
「誰の記憶にも残らないほど 鮮やかに消えてしまうのも 悪くない」という、かなり諦観の滲んだ歌詞からスタートするこの曲は、アルバムに収録された他の曲と比べてもかなりネガティブな側面が強いように思います。「壊れてもいいんだ」と、あたかも自暴自棄になったかのような向こう見ずな勢いがある一方で、非常に暗く深い自省の側面があるのが特徴的です。個人的にはギターの音色が気に入っていて、ソロやフレーズも曲に合っていて好きです。
アルバムで最も中心的な曲をあえて決めるとすればこの曲になるのではないでしょうか、少なくとも、ピロウズによる曲の中でもかなり象徴的な曲であるのは確かです。「優しい歌を唄いたい」「出来損ないのカメレオン」といった歌詞の中には、さわおさんの自意識とともに、バンド自体の覚悟もはっきりと現れています。「キミと出会えて良かったな」と歌い、そのまま消えてしまうような曲の展開には、「音楽界への遺書」であると説明されたアルバムそのものの意識が悲しげに反映されています。とても好きな曲です。
あまりヒロインの影が濃くないこのアルバムで、この曲は目立っているように思います。「どこかで見覚えのある 外国製の 人形に似た瞳が 素敵さ」とやや芝居がかった歌詞から「彼女」への想いを歌うこの曲には、しかし「She is perfect」などに究極の形で現れるような、なにか具象化できない観念のようなものへの希求を女性への憧れに重ねて表現するようなところがあります。タイトルの「彼女は今日,」という言葉で曲が終わる点にも、曖昧でそれこそ「幻」じみた「彼女」の特殊さが見えるような気がします。
個人的にはかなり気に入っている曲です。曲全体を覆う諦観と悲痛な覚悟は、「二度と本当の顔は 誰にも見せたりしないぜ」「いつも 今より似合う場所が どこかにあるような気がしてる」といった歌詞に鮮烈に現れています。この曲を聞くとなんとなく懐かしいような気分になって、寂しげなギターが優しい旋律によく映えます。
これまでの二曲からはやや変わって、やや落ち着いた曲調が特徴になります。ここから「彼女は今日,」まで段々と静かなテンションへと移り変わっていき、「ストレンジ カメレオン」で再び盛り上がる、というのがこのアルバムの流れになっています。このアルバムで初めて明確なヒロイン像が登場する曲であり、「二人の時を増やせるなら 僕はドラキュラに噛まれたっていいぜ」と歌う声には、このアルバムを通貫する皮肉っぽい悲願の感じがあります。
このバンドの中でも私が特に気に入っている曲の一つです。歌詞は、「僕の振り回す手が 空に届いて あの星を盗み出せたら 何か変わるのか」、と無力感を吐き出しているようですが、一方では「探してるものは僕らの中ではしゃいでる」と歌い、確かな衝動を持っている彼ら自身を、嘘偽りなく表現しているように思えます。ピロウズの特徴である、非常に良質なツインギターの音色も特徴の一つです。
「僕は汚れたストーカー」と歌い、アルバムの一曲目を飾る曲。ダークな世界観とノイジーでありつつもどこか幻想的な曲調はこのアルバムらしく、導入として完璧です。曲単体としてみても、効果のついたボーカルと歪んだギターが全面に押し出されつつ、力強いベースとドラムがその土台を作る、それまでのピロウズとは違ったロック的なかっこよさがはっきりと現れているように思います。
「このスープはすっかり冷めている 特別じゃない終わってゆくんだな」って歌詞に対して、Twitterで「逆クマムシ」ってコメント付けられてたのがずっと印象に残ってる
こういうこと思うのあまり良くないかもやけど、「この曲って自分のこと歌ってる?」って思ってしまう曲その1