Senninsho
- JUSWANNAに属するラッパー、メシアTHEフライのソロ作。 リリースは2010年。 「King Of Dope」という副題の通り、メシアが持つハード・コアなスタイルが提示された挑発的なアルバム。 バランスは度外視し好きなビートを選んだという本盤、一本筋が通ったコンセプチュアルな風格を漂わせている。 煙たく黒いビートとエグ味を効かせたラップ・スタイルはまさにドープ。 何度も聴くことでジワジワと毒が回ってくるようなしぶといヒップホップ。 白眉は16FLIPのアブストラクトなビートが炸裂したこの曲。 ユーモラスながら不遜なメシアと、仙人掌の絶妙なタメが効いたフロウがスリリングに交差する。
- SCARS、SWANKY SWIPEでの活躍の中で放ったソロ・ファースト作(2008年)。 その唯一無二のビート・アプローチはまさに天才的で、卓越したリズム感覚が成せるフロウは日本語ラップの歴史においても圧倒的なオリジナリティを有している。 ストリートの苛烈で陰惨な情景描写の中に脆く自虐的な内省が影を落とした生々しいリリックはSeeda「花と雨」に接続し、ブーミンでソリッドなビート・チョイスのセンスはDNCとも共鳴する。 この曲は仙人掌を迎え、Mike James Kirklandをサンプリングしたソウルフル・チューン。 このビートにはこのフロウしかないと思わせるBESのラップに痺れる。
- MONJUのメンバーとしてだけでなくソロ作でも傑作を連発するラッパーによる2018年作。ハードコアなアンダーグラウンド性に詩的な叙情性を持ち込んだ素晴らしい作品で、個人的には10年代日本語ラップのベスト級アルバムだ。 DJ SCRATCH NICEが全面的にバックアップしたことでトータル性が強く、アルバム全体に大きなうねりが生まれているが、中でもこの名曲のインパクトが強い。 類稀なビートメイカーであるJJJをゲストラッパーに起用。 The Main Ingredientの「I'm So Proud」のメロウなメロディをエディットし、そのムードを東京のヒップホップに見事に昇華したクラシック。