FJK
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EDM、ロック、ポップス、ファンク、ジャズ、そしてジャンルを越境するコラボレーションをよく聴きます。I am just a music lover. https://note.com/iamfjk
大事な人たちに言葉を届け、心をつなぐメロディ。TM NETWORKのアルバム『DEVOTION』には、小室さんが書いた表題曲に加え、木根さんが書いた「君の空を見ている」という新曲が収録されています。
優しく穏やかなメロディには木根さんらしさが窺えます。優しさの中に強くて熱い気持ちがあり、それをウツの歌が引き出します。特に好きなのが♪僕はここにいるよ♪などの歌い方です。
TMの「動」を象徴するのが小室さんなら、木根さんが書く曲は「静」です。そのメロディに安心しつつ、小室さんの曲を聴くとアグレッシブな魅力がもっと楽しめます。小室さんと木根さんの曲は、まるで太陽と月。引き立て合う関係にあります。
TM NETWORKの「DEVOTION」は、2023年6月にリリースされたアルバム『DEVOTION』の核となる新曲です。
ギターとシンセとリズムが衝突、交錯、混淆して、ロックもEDMも呑み込んだ多層的で高密度のサウンドを構築します。
肉厚で挑発的な音が聴き手に注入するのは、ポップ・ソングらしからぬ体感速度です。振り落とされそうな速度で走る音に食らいつきながら、シームレスな音の展開や歌メロと譜割を操るボーカルを味わいます。
イントロとエンディングで飛び出す♪No No No, No No No♪や♪No No More, No No More♪は、特にキャッチーで格好良い!
予期せぬ魅惑のコラボレーション。AlessoとSICK INDIVIDUALSが組み、「We Go Out」をリリースしました。
パーカッシブな音を効かせ、ダイレクトに身体を揺らすリズム。重なるシンセサイザー・サウンド。音の塊に圧倒され、魅せられ続ける三分間のエンターテインメントです。流石はEDMの本場ヨーロッパというべきでしょうか。
どの部分がAlessoでSICK INDIVIDUALSなのか切り分けることは難しいものの、渾然一体となったエレクトロニック・サウンドが聴き手を呑み込みます。どちらでもあり、どちらでもないような、角度によって表情を変えるサウンドは共作ならではの魅力です。
TM NETWORKのアルバム『EXPO』がリリースされたとき、当時のツアーでは、「JUST LIKE PARADISE」がライブの中核を担う曲として活躍しました。
オリジナルでは打ち込みを主体としたハウス・ミュージックですが、ライブではその音を下敷きにしてバンドで表現しました。
このライブ音源のポイントは、終盤に展開される小室さんのシンセサイザー・プレイです。ダイナミックかつメロディアス、大胆かつ叙情的。音が音を呼んで重なって大きな塊を生み、オーディエンスを呑み込みます。
圧倒的で強烈なプレゼンスを示す音の博覧会。永遠にも一瞬にも思える素晴らしい時間を味わうことができるライブ音源です。
無機質なのに艶のあるエレクトロニック・サウンドを介して、中毒性の高いメロディが身体に流れ込む。TM NETWORKの「JUST LIKE PARADISE」は、1991年にTMNの名義でリリースしたアルバム『EXPO』に収録された曲です。
『EXPO』のテーマの一角を占めるハウス・ミュージックを体現した曲のひとつです。いくつもの音が顔を出しては消え、グラデーションを描きながら表情豊かなサウンドを形成します。
英語で書かれた歌詞にはクールな言葉が並びますが、そこには隠しきれない色気が漂います。ふたりが交わす親密な会話にも、すれ違って交わらなくなった言葉の残骸にも思えます。
AVICIIとSebastian Drumsの「My Feelings For You」の新たなリミックスが2022年に発表されました。オリジナルのリリースから10年以上の時間を越えて、曲の世界がぐっと広がります。
Don Diablo RemixやMark Knight Remixも捨てがたいのですが、とりわけ僕が惹かれたのがMercer Remixです。
歌をミュートした部分ではリズムの骨格が露わになり、ベースの音が際立ちます。引き算の妙とでも言いますか、実に気持ちいいミックスです。音の組み立て方がシンプルなためか、ベースの魅力がダイレクトに伝わってきます。
2010年に、AVICIIはSebastien Drumsとの連名で「My Feelings For You」を発表しました。原曲であるCassiusの「Feeling For You」からボーカル・トラックを借用して音をアップデートさせた、換骨奪胎のエレクトロニック・ミュージックです。
この曲を初めて聴いたとき、歌メロが記憶に残り、特に♪My feelings for you have always been real♪のリフレインが印象的でした。
それだけではなく、ドラマチックに展開するシンセサイザーのフレーズも魅力的です。徹底的に繰り返される歌メロとの相乗効果で気持ちが熱くなります。
Yesの大作「Close To The Edge」は、四つの楽章で構成されています。起承転結を綴る各楽章は、独立した曲として聴いても聴きごたえがあります。
「承」にあたる「Total Mass Retain」の演奏時間は2分半ほどです(シングル用の編集では3分超)。第一楽章の「The Solid Time Of Change」の旋律を踏襲しながら、切れ味の鋭い演奏を披露します。ポップさもある音で、プログレの暗いイメージから離れた明るさを感じます。
美しい音の構造、音の輪郭がよく見えるアレンジです。複雑な模様のドローイングに長けた人がシンプルな円を描く――そんなイメージが浮かびます。
「Café de Paris」とは1992~93年頃、ロンドンで小室さんが足を運んでいたクラブです。その名称を冠した「HUMAN SYSTEM -café de paris mix-」は原曲から大きく変わり、エレクトロニック・サウンドで再構成されました。ミックス名にしたのは、ロンドンで体験した音にインスパイアされたことを示しているのかもしれません。
また、オリジナルで吹き込まれたLarry Williamsのサックスが残されています。分厚いエレクトロニック・サウンドのなかで響くその音は、オリジナルよりも存在感が大きくなり、その哀愁が際立ちます。強烈なリズムに包まれながら、輝きを放つ音です。
TM NETWORKの「HUMAN SYSTEM」はメロディの美しさが際立つミディアム・テンポの曲です。歌メロも、ピアノやギターが奏でるメロディも心に残ります。
『キーボード・ランド』1987年12月号で小室さんは「歌のうしろにいくつものメロディが独立して動いていて、それが最後に一緒に出てくる仕掛け」と解説しました。多彩なメロディが重なって層を作り、心地よい空気で僕らを包みます。
また、モーツァルトの「Sonata for Piano No. 11 K 331」が引用されています。小室さんとモーツァルトのメロディがつながり、「HUMAN SYSTEM」の音楽世界を一層豊かにしています。
Zeddの「Papercut」は、静謐なピアノが鳴って、さざなみのように始まり、やがていくつかの音が重なるエレクトロニック・ミュージックです。
Troye Sivanの歌声からは感情を抑え、表情を殺しているかのようなクールさを感じます。しかし体温が低くて淡々としたなかにも熱いものが見え隠れする歌声です。
終盤になると音が熱を帯び、聴き手の気持ちを高めます。音が厚くなるにつれて、ひとつひとつの音が心地よく響き、気付いたときには混淆する美しい音に絡め取られている。その生々しい感触は、曲が終わりを迎えても余韻とともに残り続けます。
Reolの「No title」は本人が自らの原点と呼ぶ曲。その新しいバージョンであるSeaside Remix-がリリースされました。
リミックスを手掛けたのは、ぬゆりというアーティストです。オリジナルの空気を引き継ぎながらも、2022年の色を重ねています。音はオリジナルよりも厚くなり、立体的に響きます。
オリジナルが醸す淡々とした印象の音からは、誰かが俯瞰的な位置で物事を捉えているイメージが浮かびましたが、このリミックスでは表情が見えそうなくらいに距離が近く、手を伸ばせば触れられそうです。同じ言葉であっても、まとう音が変われば、目の前に立ち上がる世界は変わります。
The Policeの代表作として『Synchronicity』を挙げるファンは多いと思います。ふたつあるアルバムの表題曲のうち、僕が好きなのが「Synchronicity I」です。
スタジオ録音の時点で疾走感あふれる演奏ですが、アトランタでのライブ音源を聴くと、ライブの熱気も相まって、スタジオ録音よりもテンポアップしていると思えます。最後にStingが観客にジャンプするよう煽るところはライブらしくて最高です。
1970~80年代のロックを集めたプレイリストを作ったとき、もともと好きだったプログレやLed Zeppelinを選んでいると、1980年代のYesに興味が湧き、その流れで聴いてみたくなったバンドがThe Policeです。代表作『Synchronicity』を聴き、「Synchronicity I」がとても良かったので躊躇せずプレイリストに組み入れました。
「Synchronicity I」の魅力は、ドラム、ベース、ギター、キーボード、そしてボーカルといった、すべてのパートがひとつになって生み出す疾走感です。あえて緩急をつけずにスピード感を維持する演奏が格好良く、身体を刺激します。
レトロな空気を醸すシンセサイザー・サウンド、肉厚なリズム、そして体温低めの歌声が絡み合います。 DÉ DÉ MOUSEとAZKが「Disco Revenge」をリリースしました。
ディスコ・ソングのイメージが浮かぶアレンジですが、一方で、2:30前後の展開はEDMらしさが弾けます。electronic music loverの琴線に触れるであろう仕掛けがいくつもある素晴らしい曲です。
ボーカルをとるAZKこと声優の澁谷梓希は『魔入りました!入間くん』のアニメで知り、のちにその歌声も好きになりました。低音が魅力的なAZKの歌は、エレクトロニック・サウンドと溶け合いながらも存在感を放ちます。
軽やかに、穏やかに響くアコースティック・ギターの音。藍井エイルの新曲「HELLO HELLO HELLO」が配信されています。
驚いたのが、カントリー・ミュージックの空気を漂わせるアレンジです。緩やかなテンポのなか、涼しげで心地よい音が聴き手を包みます。
持ち味である力強いボーカルとは打って変わって、「HELLO HELLO HELLO」では穏やかで柔らかい歌を届けます。穏やかさや柔らかさのなかに、芯の強さが垣間見えます。
♪君まで届けるよ Hello Hello Hello♪や♪一番に届けるよ Hello Hello Hello♪の、特に「届けるよ」の部分に強さを感じて、特に好きです。
最近Odeszaの「The Last Goodbye」をCMで知り、EDMを集めたプレイリストに入れて聴いています。
多彩な音が絡み合い、音が音を引き立てる仕掛けを楽しめるエレクトロです。特にベースが前面に出て曲を支配する部分(2:45~)がとても好きです。音の沼に引きずり込まれ、その心地よさから抜け出せません。
ソウルフルな歌声はBettye LaVetteであり、サンプリングされているのは「Let Me Down Easy」です。過去に吹き込まれたタフな歌声を、素材としてエレクトロに組み込むアプローチ。経年を感じさせない力強さと、過去の曲ならではの存在感が矛盾せず共存します。
「Points Of Authority」は初期のライブでよく演奏されていました。基本的には音源に準拠する演奏でしたが、2000年代後半以降のライブでは、パフォーマンスに少し変化が見られます。
Mike Shinodaのソロ・プロジェクトであるFort Minorの「In Stereo」のリリック “Welcome one and all to the show...” 以降が冒頭に組み込まれています。
そこからシームレスに “Forfeit the game...” につながり、「Points Of Authority」のイントロが始まる展開は素晴らしい。一気に気持ちが盛り上がります。
エネルギッシュなMike Shinodaのラップと分厚いヘビー・ロックのサウンド。好きなLINKIN PARKの曲をいくつか選ぶとき、確実に僕は「Points Of Authority」を候補に挙げます。
「Points Of Authority」の核となっているのは、“Forfeit the game...” から始まるMikeのラップです。イントロと間奏で登場するこのラップが強烈なプレゼンスを示し、聴き手の心を支配します。
また、肉厚なギター・サウンドを聴いていると身体が震え、頭を振るなり声を上げるなり、何かしら身体で表現したくなります。聴き手をアジテートするラップとサウンドです。
記憶に新しく刻まれるピアノの音。アナログ盤で限定販売されていた小室哲哉のアルバム『JAZZY TOKEN』がストリーミングやダウンロードで聴けるようになりました。エレクトロニック・ミュージックにおける鍵盤の音とは異なる響きに魅了されます。
特に強く印象に残った曲は、アルバムの開幕を告げる「Traffic Jam」です。リフレインするピアノの音に引き込まれました。キャッチーなメロディを生み出すこの音を、ずっと聴いていたい。
初期の曲を中心にリメイクしたアルバム『DRESS2』で「RAINBOW RAINBOW 2014」が聴けます。このアルバムの特徴である「EDMに傾倒したTM NETWORK」の一角を占める曲です。
リメイクのポイントは、イントロのリフがそのままAメロを突き抜けていくところです。オリジナルからあるフレーズを少し変えてリフレインさせ、テンポアップして使っています。
このリフが生む快感は格別で、中毒症状すら引き起こします。間奏やエンディングでも顔を出すため、一度消えてもまた戻ってきて、そのたびに気持ちが盛り上がります。魔法のように聴き手を魅了するエレクトロニック・サウンドに身を委ねてみましょう。
1989年には、ニューヨークでリミックスされた「RAINBOW RAINBOW」の音源が『DRESS』に収録されました。
制作したのは、Madonnaをはじめとする著名なアーティストのプロデュースやリミックスを手掛けたJellybeanです。
『DRESS』で聴けるリミックスはオリジナルのイメージを残しつつも、ビートが強調され、クリアなエレクトロニック・サウンドが明るさと同時にメランコリックな空気を出しています。そして間奏の音からは、冷えた金属に触れたときのような無機質な冷たさが感じられます。
TM NETWORKの「RAINBOW RAINBOW」はデビュー盤の表題曲ということもあり、特に1980年代のコンサートでは演奏される機会が多く、いくつかのライブ音源や映像で当時の雰囲気を知ることができます。
コンサートでは、スタジオ・レコーディングで主にシンセサイザーの切なげな音が埋めていた間奏が、ギタリストやベーシストの見せ場となりました。
例えば、1985年の〈DRAGON THE FESTIVAL TOUR featuring TM NETWORK〉では松本孝弘と西村麻聡、1994年の〈TMN 4001 DAYS GROOVE〉では北島健二による素晴らしいソロ演奏が聴けます。
1984年にキャリアをスタートさせたTM NETWORKが初めて発表したアルバムのタイトルは『RAINBOW RAINBOW』です。
表題曲の「RAINBOW RAINBOW ~陽気なアインシュタインと80年代モナリザの一夜~」は、キラキラ輝くポップなイメージが浮かぶ音を軸にしながら、哀愁を漂わせる音も織り込んでいます。
シンセサイザー・サウンドで独自の色を出そうと模索していたころの姿が映し出された曲なのではないでしょうか。
Zeddの「Stay The Night」はヒット作『Clarity』の発表後に発表されました。歌を吹き込んでいるのはParamoreのHayley Williamsです。
Hayleyのタフで美しい歌声を活かしながら、Zeddらしい強力かつポップなエレクトロニック・サウンドで聴き手を魅了します。
僕は2013年にZeddとParamoreを別々のルートで知りました。それぞれの曲を聴く機会が増えたときに出会ったのが、このコラボレーションです。
交わるとは想像しなかったふたつの線が交差すると、自分に与えられた素敵なギフトに思えます。驚いて、感動して、そして今も聴いては感動がよみがえります。
BTSのコンピレーション・アルバム『Proof』に、新曲「Yet To Come (The Most Beautiful Moment)」が収録されました。心地よいミディアム・テンポで刻むシンプルな音のなか、穏やかに言葉を連ねます。
歌詞は内省的で、遠くまできた自分たちの歩みを振り返り、グループへの賛辞に戸惑うような言葉も含まれています。
とはいえ決して後ろ向きではありません。Yet To Comeとは、まだ成し遂げていないという意味。新しいフィールドに向かう自分たちの今の姿を刻もうとしたのでしょうか。そして、再び集まるときに新しいBTSを見せる。そんな意味も込めているのかもしれません。
「Stay The Night」はSigalaらしい明るさと軽やかさが詰め込まれたエレクトロニック・ミュージックです。Talia Marの天井知らずの明るい歌声は、Sigalaのポップなサウンドとの相性がよく、楽しい気分にさせてくれます。
この曲を聴いて真っ先に浮かんだイメージは、夏。よく響くTalia Marのボーカルで始まり、きらびやかなエレクトロニック・サウンドが束になって押し寄せるさまは、他のどの季節にも当てはまりません。
夏の到来を待ちきれない気持ちが弾ける。そんな期待と衝動に満ちた曲ではないでしょうか。
Swedish House Mafiaの新作に先行してリリースされた曲のひとつが「Lifetime」です。エレクトロニック・サウンドが紡ぐメロディは心地よく、漂う哀愁に胸が締め付けられます。
SWHの音は重く分厚く、ときに陰鬱だと僕は先入観を抱いていましたが、当然ながらそれだけではありません。重厚ながらもキャッチーさが垣間見えるサウンドもSHMの魅力であり、「Lifetime」も含まれます。
Ty Dolla $ignと070 Shakeのパフォーマンスが加わることで、哀愁の色は濃くなります。SHMという三角形の中に見られる、ふたりの歌声とSHMのサウンドが形作る三角形もまた素晴らしい。
quasimodeが2012年に発表したアルバムで、最初に気に入った曲が「Slow Motion」です。
サウンドはソウル・ミュージックの一派であるモータウン。聴き手の心をほぐす軽快な音に魅せられます。
四人が紡ぐピアノ、パーカッション、ベース、ドラムの音は総じて心地よく、ハッピーな雰囲気のホーンや涼しげなストリングスが華を添えます。
作詞と歌は土岐麻子です。軽快なイントロで音の世界に導かれ、彼女の歌声が聞こえると、ふわりと温かみが広がります。
多彩な演奏に溶け込みながら、歌声は少しずつ表情を変えて響きます。寂しさを誘う歌詞と相俟って、表情豊かなボーカル表現に胸が締め付けられます。
エレクトロニック・ミュージックの規則的なリズムを聴いていると、「曲の世界に引きずり込まれる」瞬間が訪れます。
そんな曲のひとつが、David Guettaによるハウス・ミュージックへのアプローチを強めたプロジェクト、Jack Backの「Feeling」です。
この曲の魅力は、たくましさを感じるエネルギッシュなボーカルと、1980~90年代を思わせるエレクトロニック・サウンドです。
ループする音に捕捉されると、抜け出すのは実に難しい。その状態に♪I got a feelin’ (feelin’)♪の歌メロが拍車をかけます。音と歌のスパイラルに絡め取られ、ずっと聴いていたいと思えます。