『特にない 望みなどない』という最初の歌詞は、『特にない わたし 満たされている』と最後に覆される。ない、のに、持っている。これは藤井風にとって、一つの大きなテーマだと思う。このアルバムを聴いていて思ったのは、罪の香りも、調子のっちゃっても、最後の最後で覆されるということ。イントロが暗く入っても、アウトロは全部明るい。明るくしている、というよりは、何者かによって明るくされてしまう。最後の救いまでの過程を、見ること、歩くこと、旅すること。それら全てを、藤井風はいつも歌っているのではないか。一曲聴き終わった後には、歌のタイトルが別の意味、救いに変わっていく。言葉の面白さにも、注目して聴きたい。