アルゼンチンの才人トリオ、Aca Seca Trioの09年作。付属のDVDで3人のとんでもなく美しいアカペラを聴ける通り、歌やコーラスも上手ければ、ポストロックのような幾何学的アンサンブルまでできてしまうハイセンスな方々。
この表題曲では悠久の川の流れを思わせる演奏と、優しく川辺に寄せるコーラスの波がじんわりと感動をもたらします。
Carlos Aguirre Grupoの初作(00年作)。近所のブックオフで本作を見つけ、「何故こんな傑作を手放すのか」と内心怒りました。日本盤が出るまではアクセスが難しい盤だったのに…今やサブスクで聴けますが。
河の流れ、風の囁き、星の瞬き、土の薫りが演奏の呼吸の間に確かに息づいて極上の洗練に到っています。詞も同様で「過ぎていくというその条件は川の身体を支配する」という感性で時の流れを表現した、この曲の美しさは宇宙的ですらあります。
彼の来日公演を大雪の山形で静かに堪能できたのは音楽体験として一生大切な思い出です。手元にあるCDもその時買いました。真ん中の絵は1枚1枚異なります。