2. ロックインジャパンの初参戦は、2012年、3日間「通し」という大学生ならではの敢行だった。高橋優のライブで咽び泣いたのは前エピソードの通りだが、フェス参戦前の予習期間に出会った「THE ラブ人間」のパフォーマンスも衝撃的だった。
こちらはウィングテントという小さめの、それこそライブハウスみたいな空間で、午前中に行われたので少しマイナーな雰囲気もあり、それも良かった。
それまで、商業音楽というかメジャーレーベルから出ているような音楽ばかり聴いていた自分だったので、「なんだこれ!?」という衝撃。インディーズバンド、という言葉を生で感じたのはこの日で間違いないだろうな。
大人と子供。この境界線を歌わせたらラブ人間の右に出るバンドは居ないんじゃないでしょうか。バイオリンの泣いているような美しい旋律と金田さんの叫ぶような歌声は、不安定な季節の変わり目に聴きたくなる。
「財布の中にはいつだって タクシー代を持つようになった 大人になったからそんなの当たり前になった」の歌詞がとても好き。後半で「好きな人は27才です 僕はもう(19才じゃないのです)」って続くのが子供から大人への移り変わりを強く感じてなぜだか涙腺が緩んじゃう。
20代後半でラブ人間を聴けるのは間違いなく贅沢だ。
「わたしと下北沢」というテーマでエッセイを書くとしたら、きっとこの曲のことも書くんだろうなって思う。わたしにとって下北沢といえばTHEラブ人間なのだ。大人でも子供でもない若者の青春ソング。ド直球の歌詞がアツく響く。ライブハウスでみんなで歌うと多幸感で泣いてしまう。
「ぼくはきみの物にはならないけど さみしいときはメールでもするよ」の歌詞をずるいなあって呟いたらボーカルの金田さんから「じぶんでも思います。こいつひでえし、ずりーって笑」とリプを貰ったこともあったな。
あなたを傷つけなきゃ 傷つけたことにすら気づかない
弱い人間だから
大事にされていると感じるために壊したり失ったりするんだよね