A Lilyというマルタ出身(英国在住)のアーティストの新作。このアナログっぽい暖かなサウンドスケープだけでも結構好きなんですが、そこに乗っかるのが、故郷のホームレコーディングのアーカイブ音源。つまり、故郷の伝統的な歌をサンプルとして織り込んでいます。
その効果は凄まじく、遠い異国の私でさえもノスタルジーが喚起されるほどです。ただし、(私の想像ですが)自分で録音したサンプルでない以上、この音のノスタルジーは本人にとっても虚構な面を多分に含むんだろうと思います。
そんな"あるかないかも分からないけどあったはずの景色"が、曖昧な記憶のように浮かび上がってくるのがとても面白いです。単純に美しいです。
A Lily
のっけからクライマックス