研ぎ澄まされた言語感覚
町田康はやはり言葉の人だなと実感させられる。『腹ふり』は
ポエトリーとロックの融合の実験でもあったが、本作はそれ以上に歌い方が、ミクロなレベルで音と言葉の溶け合うさまの表現となっているように感じた。「物語なら十日あまりで容易に作り出す」と歌う町田は、言葉と音の揺らぎの中で、もはや一つの境地に達しているのではないかとも思えるほどの全能感を演出している。
どこか間の抜けたようなフルート?のフレーズから始まり、お経のようなリフレイン、そこから一変して村祭りのような曲調になる構成も面白く、他にないユニークな音楽性が町田の粘り気のある歌唱を引き立たせている。