カウリスマキ監督の映画『真夜中の虹』で、刑務所から逃げ出した主人公が、町中で出会った女性と一緒になって、木のボートで船に乗りこむシーンがある。主人公と女性、それから波と、遠くに見える船が画面に現れ、水平線に夕日が落ちていくなか、この『虹の彼方に』がバックに流れ出していく。それがめちゃくちゃいい。もちろんこの曲は楽しいミュージカル映画の歌なんだけれど、社会的な映画でこの曲が流れると、虹というものが、市民が思い描く夢とか力強さとか、そういうものとしても捉えられる。『Somewhere over the rainbow』。そうか。書いていて思ったけれど、虹の彼方なんだね。虹ではなく彼方が夢なのか。