高い演奏能力、鋼のような硬質なサウンド、アジ演説のようなラップ。
ステージでは深紅のゲバラの旗が翻る。
そして後方には逆さまにされたアメリカの旗が掲げられている。旗には、『気にいらねえ!』の文字が。
グローバリゼーションを呼号して傲慢なふるまいを続ける米国の姿を知る人びとの心を、どこか深いところで捉える雰囲気がこのこと自体にある。「曲は武器である」と言い切る彼ら。政治的なアーティストは他にも沢山いるが、『世界平和』だの『自然保護』だの、味の薄いスープのような芒洋としたものが多いなか、レイジは短い射程距離で確実に敵を撃っていく。敵との距離が短いと、自分も傷つくが、命中する確立もはるかに高いのだ。