驟雨の意味もサイダーというフレーズもおそらくある特定の人を指してると思うんだけどどうだろな。あの人の事を想起する。
切ない。切ないけど、それを振り切るような疾走感が、やっぱり切ない。
メジャー初期を思わせる軽やかさと青さをこうして今のベボベが鳴らすことで、バンドとして変わらないことと、変わってきたことが、どことなく浮き彫りになっている気がする。
「フレー!フレー!」なんて言ってるけど、やっぱりこいちゃんはちょっとひねくれてて、「おれたちはまだまだやれるよ、で、おまえはどうなんだい?」くらいのニュアンスじゃないかしら。
そうだね、もう会えないなら、さよならなんか、言わないよな。
バンド初期、それこそ「CRAZY FOR YOUの季節」辺りを彷彿とさせるビートに乗る歌詞は、「死」の匂いを漂わせつつも、全ての生きる人の背中を押すもの。
2020年を経た2021年、死と生を描くのはフロントマンの小出にとって様々な意味合いにおいて必然だったのだろう。サウンドはいわゆる皆が思い描くベボベらしいが、歌詞はいい意味で全くベボベでは無い。(WHAT IS THE)LOVE & POP?の頃の小出だったら多分フレー!フレー!なんて歌詞は書かなかっただろう。
これ以前からベボベは死と生をテーマにしてきたバンドだが、近作で明らかにそのバランスがグッと生に向いている事に注目したい。
CRAZY FOR YOUの季節に贈る、生きることへの全力の肯定。こういう曲調で生命に関わる描写があると「PERFECT BLUE」とかを思い出すけど、バンドのここまでのドキュメンタリーとコロナ禍+大震災から10年の今の空気がこの曲には息づいている。
特定の誰かに向けてとか、本人はきっと言わないしそういう意図も無いだろうけど、最初と最後のフレーズなんかはやっぱり考えてしまう。
ベボベの新譜。
ベボベでこの曲調、この雰囲気は久しぶり。
ギターの音やアレンジも少し懐かしさを感じる。
最後のフレーズにぶっ込んでくる感じ、最高。
ベボベは「実在の人物についての話(実話)はほとんど歌詞にしない。」「歌詞は日記じゃない。」とよく言っているから関係がない可能性の方が高いんだけど…津野さんが脳裏をよぎってしまうな。