冬にわかれて(寺尾紗穂、あだち麗三郎、伊賀航)の新作。3枚目となる本作の懐の深さに驚く。イメージしていたフォーキーな歌ものは、作品世界の極一部でしかなかった。
時代や地域を超えた音楽的語彙の豊富さと、それを自分の表現に落とし込む消化の巧みさ、そしてその表現にスリルを生む歌と演奏がしなやかに合致しているのが見事。個人的には随所でうねるウッドベースが効く。
各々の個性の連関がバンドの個性になっているのは理想的で、この曲なんか日本で他にできる人達がいるだろうか。この怪演が悪目立ちしないくらいアルバム全編が充実しています。