遠くへ - 1973年・春・20才
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Shogo Hamada 遠くへ - 1973年・春・20才 for Sandy

とても長い曲で派手さもないから、この曲、もっと言えば『J.BOY』の二枚目はあまり聴いていなかったけど、久しぶりに聴いたとき涙が出そうになった。時代の波の中で潰されそうになりながらも必死で生きる若者たちのことを優しい目線で歌っている。学生運動が過熱する昭和の空気感が色濃く表れているけど、この曲の主人公のもつ悲しみ、願いは40年近く経った今でも通用する普遍的なものだと思う。

Shogo Hamada 遠くへ - 1973年・春・20才 for tynak0113

アルバム自体は1986年発売だが、副題にあるように1976年の1stアルバム『生まれたところを遠く離れて』の頃の曲で当時の時代背景を色濃く刻んでいる。
「独りであること、未熟であること、これが私の二十歳の原点である」と日記に記したあの高野悦子さんの姿を、曲中の「あの娘(あのこ)」に重ねてしまうのは私だけだろうか。
理想や大義といったものに自らを賭けることは、生身の人間にとって時に抱えきれないほどのものでもあるだろう。
聞く度に20代の頃のあの纏まりのつかない何とも言えない気持ちを呼び覚まされてしまう。
目立たないけれど数多い浜田省吾の「隠れた名曲」の1つ。