トラックにこの合わせ方は天才じゃね
今年読んで一番面白かった小説はポールオースターの『ムーンパレス』だった。時間と金を空虚に溶かしながら堕落していく前半部分はもはやコメディで、ニヤニヤしながら「わかるわかる、あるよね」と無職目線で激しく共感した。
特に共感できたのはキッチンで生卵を落とした主人公が大泣きする場面。作中では社会との糸が完全に切れる象徴的なシーンになっているが、日々を無に帰すことが生業の僕ら無職にとって一番怖いのは、不可逆を目の当たりにすることに他ならない。
壊れるという事象と対峙して人は大人になるわけだなあと、20歳で死んでしまったxxxtentacionを聞きながら思う。