ブルースの歴史にとっても最重要曲であることには間違いないこのリロイ・カーの曲が出たのは昭和のはじめ。
時代的にはヴォードヴィルで大仰にわが身を嘆く女性
クラシック・ブルースや、それよりあとに開発された田舎の男性シンガーが歌うダウンホーム・ブルース、それらと同時期に市場に出てきたのだから、特に都会人はその新しさ、軽妙洒脱さかげんに驚き、参ったに違いない。すべてのモダン・ブルースはリロイ・カーのこの曲に始まる、と言っても言い過ぎではないだろう。
「夕刻発の列車、出てからもうどのくらい、ベイビーどのくらい?」と去っていった彼女を思うリロイ・カー。カントリー・ブルースとは大きく違う抒情味がある。