飢えないでいられること、戦火から逃げ惑わなくてすむこと、酷暑や厳寒にさらされなくていいことなど、極限状態を思えば、むろん幸せなのですが、それを盾にとって、大人たちが「おまえたちは幸せなんだぞ」「○○の人たちと比べたら、ずいぶんと恵まれているんだ」などなど、押し付けてくるのは嫌ですよね。
わたしは身震いしてしまうほど嫌です。
十代のわたしは自分が何を幸せとするのか、不幸せとするのか、ほとんど摑めていませんでした。でも、自分の幸せ不幸せを、他人に審判なんかしてもらいたくない。P17
「あさの あつこ - あなただけの物語のために」 より