「お父さん、赤味噌は、一生食べないって言うたかなあ?」
買い物中、味噌売り場で聞こえてきた声の方に目をやると、立っていたのは赤味噌を手に持ち少しからかうように笑っているおばあさんと、その赤味噌を手で払いながら『ありゃもういやだ』と首を横に振るおじいさんだった。
70代後半くらいの老夫婦だ。
一生●●宣言を人生の後半に使っている人を始めて見た。おじいさんの、生きてきた長い人生に対し赤味噌を食べない方の人生の割合を想像し、私もいつかそんな宣言をする老後が来るのだろうかと人生の未知へのワクワクが止まらないのであった。