音の鬼才。フォークロックに軸足を置きつつ、シティポップやアンビエントといった範疇でも良作を出してきた岡田拓郎の渾身の一作。本作ではさらにジャズの自由な部分をも採り入れた、というより各ジャンルに枝分かれする前の不定形な音像をいかに肌に馴染ませるかといった具合で、色んな名前が頭をよぎりつつも何物でもない音楽が生成されている。
豪華ゲストが参加しているのに記名性も人為性も薄いのが不思議で、Milesの"In A Silent Way"を聴いた感覚に近い。
ニューエイジディスクガイドでの細野晴臣との対談で、20年代は非論理的な取り組みを模索する時代と言っていたが、まさに感覚の上澄みのような音楽かと。