高校の新入生歓迎会の時こと。在校生バンドグループが私達入学生にむけ演奏をしてくれた。当時流行っていたビジュアル系ロックバンドの演奏が3組ほど続いた後、ギター1本抱えステージの真ん中に3年生男子が1人やってきた。
「Tears in Heavenです」
小さい声で呟いたそれは、自己紹介か挨拶か?日本語なのか英語なのか?その時は分からなかった。直前までの大音量の演奏から一転し、耳に入るのはギターの音とマイクを通る彼の声だけ。
上手いかどうかなんて関係ない。
衝撃だった。大人だった。度胸だった。
中学を卒業したばかりの私は彼の姿から色んなものを受け取った。
この歌は私の春で、始まりで、気合いだ。