彗星
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Lyu:Lyu 彗星 for si_b_s

梶井基次郎「冬の日」を読んだ。遅くに起床して弱い冬の陽射しに照らされる木々や街を見ては感傷的になっている堯の姿に、思いがけず今の自分の生活をそのまま映し出されたような気持ちになった。

年の瀬なので周りの話題は揃って来年のことだ。皆が「来年から社会人か〜」と呟くことで互いの不安と期待を共有しあっている。その中でひとり社会のレールから弾き出された私に芽生えてくるのは漠然とした希死念慮。

成績優秀スポーツ万能、おまけに容姿も端正という後輩の車に乗せてもらった時、オーディオからこの曲が流れてきた。去年の今頃のことだった。あの時彼は何を思ってこの曲を聴いていたのか。とうとう訊くことはできなかった。