m.s.t.というデュオの『緑と風』に出会ったのは2017年です。ピアノなどの鍵盤とベースとドラムによる演奏に、曲によってストリングスが加わります。
エレクトロやロックと比べると穏やかな音楽ですが、その中にも聴き手を引き寄せる力強さを感じます。映画の劇伴を思わせるというべきでしょうか。物語を支えながら、音楽自体も物語の一部として組み込まれている。
表題曲の「緑と風」で響くピアノとベースは、ふたりの人間のダイアローグに聞こえます。ときにモノローグとなり、やがて再び言葉が交わされる。スポットライトを浴びた二人の役者が会話で物語を描いていく舞台のようにも思えました。